第4回C★NOVELS大賞の大賞受賞作。内容は、政略結婚で結びついた奔放な性格の少年王テオと異能持ちで感情に乏しい姫君セラの恋と、セラを狙う謎の影との戦いを描いたファンタジー、というところでしょうか。
読んだ感想としては、なんというか、コバルトかビーンズかはたまたX文庫か、というぐらい超王道な少女小説的ラブストーリィという印象でした。いや、それも別に悪いとはいわないけど、このレーベルに求めている傾向とはちょっと違うというか……。
まぁでも読んでる最中は、神殿育ち&自身に備わった異能のため当初は人間の感情に疎かったセラが、それまでに置かれていた環境とは全く違うヴェルマの王宮の人々と触れ合うことで、次第に人間らしさを得ていく過程とか、最初は行き違いもあって距離があったテオとセラが徐々に親しくなっていく過程とか、ベタながらも普通に楽しかったです。ただ、セラに付きまとった謎の存在の正体とか終盤の展開は、個人的にちょっと……いや、かなり物足りなかったかな。とりあえず、悪役がぺらぺら背景事情を懇切丁寧に語ってくれるのはあまり好きじゃないです。あと、国家レベルの問題があっさり解決しすぎだなーと。いや、次に読んだ本が読んだ本だったので余計にそんな印象が……(←それは明らかに比べる本が悪い)
何だかんだと物足りなさはあったものの、文章はまぁ嫌いなほうじゃないし、とりあえず次回作も読んでみようかとは思います。