読むたびにこの人は朝鮮が好きなのか嫌いなのかとどっちなんだと疑問に思いつつ爆笑させられる、荒山徹氏の作品。今月は2冊同時に文庫化と、ある意味恐ろしい事態に。まぁでも、某アレとかアレのときみたいに帯で真っ当な人を騙してないので、比較的良心的な気がしなくもない。
戯言はさておき、この本のあらすじですが、一言でいって日韓動乱期を舞台に繰り広げられるターミネーターな話(←身も蓋もないまとめ方) いつもどおり酷いことは酷いんですが(褒め言葉)、基本的に勢いで突っ走る伝奇冒険活劇といったノリなので、荒山作品初心者の人にも読みやすい、かも。
実際の好悪は別としても、伊藤博文も比較的好感のもてる主人公像になってるし、彼の命を狙ってやってきた処刑御使の中にも現実的に物事を捉える人がいたり、一方に偏りすぎることなく読めるようになってますし、時に登場人物の口も借りて当時の日韓関係も割合真面目に語りつつ、東洋の近現代史を少しでもかじったことのある人間には常識レベルではあるものの、そうでなければどうだろう?というような史実というか豆知識というかを絡めて展開される話は、素直に面白く読めます。最後も、上手く落としたなーという感じだし。
……そんな感じで本筋は真面目な感じなのに、何故アレな印象ばかりが強いんだろう……って、考えるまでもなく全体の雰囲気やら本筋を彩る枝葉の部分がアレすぎるからか。今回の話の場合は、時空を超える妖術が初お目見えしたりとか巨大電撃百足とか仏像が闊歩したりとか味方の女性妖術師が使う妖術があんまりにもあんまりだとか、まぁそんな程度でネタ的には比較的大人しかったんですけど(←それで大人しいレベルか)、あとでリセットすれば大丈夫だから!とばかりに本気で好き勝手しまくられたときにはどうしたものかと思いました(笑)