『アンゲルゼ 最後の夏』[須賀しのぶ/集英社コバルト文庫]

 今回の内容を相当乱暴にまとめると、「未孵化」として軍属になることを強いられた陽菜の奮闘編というところでしょうか。……まぁ、「奮闘」の一言で済ませるには(作者曰く「多少」)ハードなことになってますが……。

 1巻の時点では伏せられていた世界設定やら何やらがちらほらと見え隠れし、話そのものへの興味が増してきた感じ。つーか、主人公たちの置かれている状況が過酷と言うにも限度がありますよね……この子らまだ中学生ぐらいなのに、となんとなくやるせない気分になってしまったり。
 陽菜と楓は、短い間にそれぞれ見違えるような成長をしましたが、裏を返せば二人とも、置かれた状況は違えど子供でいることが許されなくなってしまったともいえるわけで……この先もまだまだ数えきれないほどの苦難が待ち構えているのでしょうが、頑張ってほしいなぁと切実に思います。また、複雑な事情を孕んだ陽菜とマリア、そして同じ「未孵化」である有紗との関係がどうなっていくのかも気になるところです。
 そのほかの登場人物では、覚野君の印象が好転。いや、1巻の時点でもそう悪くはなかったけど、この巻での行動を見てもなんだかんだで良い子ですよね彼。口と態度で損してるけど。あと、キーパーソンの一人であろう敷島氏は、今のところは陽菜の目線を通していることもあってか普通に冷血漢というか外道な印象が強いですが、それでも何か裏はあるんだろうなーという雰囲気はあるし。どういう形で彼の抱える事情が明かされていくのか、今から楽しみ。

 さて、次の巻ではどのような展開が待っているのか。作者公式サイトによれば9月発売予定らしい3巻が待ち遠しいですね。

作品名 : アンゲルゼ 最後の夏
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著者名 : 須賀しのぶ
出版社 : 集英社コバルト文庫(集英社)
ISBN  : 978-4-08-601172-3
発行日 : 2008/6/3

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