それぞれの事情から、世界を統べる「ウィザード」のいる都・マギを目指して旅をする白魔女見習いの少女エメラルドと仲間たちの物語、第3巻。
スパーニャ王国の追手を避け、密林に踏み込んだエメラルド一行。しかし、今度は研究のために滞在していたマギの科学者に捕らえられてしまい……という展開。タイトルにもなってるわりに科学者の人はあまり出張らず(←あれで?)、それよりも増える一方かと思っていた脇キャラがいったん整理されたり、組織や個人の微妙な利害でつながったエメラルド一行の関係が描かれたり、今後へ向けての要点整理が行われた巻、という印象。
読んでる間、あいかわらず糖度の低い話だなぁと思わず苦笑してしまったり。「宝石」であるがため否応なく騒動の中心に据えられてしまうエメラルドは……とりあえず頑張れ、としかいいようが(酷) あと、ウォレスは(一応)ヒーローと思われる位置にいるくせに、ちっともそうは思えないエメラルドへの数々の態度&腹黒&毒舌ぶりがいっそ清々しい。歴代ウィザードの記憶と自分の感情をもてあまし苦しんでいる様子など、彼の抱える事情も分かってるんですが、それでも、ねぇ。その他、新たなウィザード候補アトラスの登場の登場も興味深かった。この話の中ではまぁまともといってもいい人で、エメラルドに向ける感情はウォレスとアルフェッカほど極端ではなく家族への親愛程度なので、「うわーなんか普通だ」と変なところで感心。おまけに、アルフェッカが少し冷静になるきっかけともなるなど、いろんな意味でダークホースな人でした。
さて、スパーニャの追手や科学者とはこれで何とか縁が切れそうですが、次の国ではどんな騒動が待っているのか。エメラルドとウォレスの関係とあわせて、続刊が気になるところです。