長編伝奇シリーズ「封殺鬼」。若干14歳にして神島の当主となった少女・桐子をメインに据えた昭和編・「鵺子ドリ鳴イタ」第3巻。
前巻で、家人との関係に戸惑いを覚え行動をとることを躊躇っていた桐子が、いよいよ覚悟を定めて反撃を開始する、というのが今回のおおざっぱな内容になるでしょうか。かつての事件を思えば、彼女が覚悟を定めるのにどれほどの葛藤があったことか。それらを全て呑みこみ、傲然と前を向いて進みだした彼女の姿に思わず惚れ惚れ。彼女だけでなく、弓生と聖、そして宇和野といった脇を固める面々もそれぞれ良い味出してます。
一方、「神島」とはやや異なる位置から事態に深く関わっている志郎。今回は「神島」の遠縁であるが故の出来事がありましたが、まさか、あの場面でああいう形の切り返しをするとは。つーかこの人、平時はぐーたらとしているくせにここぞという時の行動がどうにも格好良いですね。加えて、桐子との「友達」関係では気ままに振舞っているようで、実際は年長者として桐子をそれとなく気遣っているなど、そういう懐の深さを感じる対応を取っているあたりで、また格好良いなーと思ってしまいました。……ところで、あとがきで将来の桐子との関係が正式に明かされましたが……今の状態からそうなるまで、いったいどういう経緯があったのかがものすごく気になるところ(笑)
さて、今回もとんでもない場面で以下続くになってますが……まだ相手が有利に進めている状況をどのように覆していくのか、4巻が楽しみで仕方がないです。できるだけ早く読めるといいなー。