薬師のカナギと謎の詩人ソラ、そして元暗殺者の少女ミリアンの3人、そして彼らと関わる人々の繰り広げる物語「オペラ」シリーズ、最終巻。
想像以上に綺麗な幕引きになったなぁというのが、読了後の素直な感想。『グローリア』終了時点ではもうハッピーエンドは望めないんじゃないかこれ、とか思ったりしていたのですが、そんな悲観的な予想を作中人物それぞれの頑張りが覆していってくれたのが、なんとも嬉しかったです。何度もハラハラさせられましたけれど、それもこれも終わりよければすべて良し、という感じですねー。
登場人物関係では、やはりカナギとソラ、そしてミリアンが印象的でしたね。カナギがソラのことを忘れてしまって、そのことがミリアンとの関係にも響いてきて……というあたりに、この3人の絆を感じました。それにしても、普通なら感動的になるだろう場面での掛け合いがちっとも感動的でないのは、彼ららしいというべきなのかどうか(笑) えーと、他にはバシュラールとシュナル、リュリュとデクストラのカップル(?)の迎えた結末にニンマリしたり、ヤウザをはじめとする魔導師たちやラングレーなどの脇役陣の奮闘を楽しんだり。密かにシリーズ最大の敵だったんじゃ?というウゴルとの最終戦や、『世界の王』と『鳥の神』の対話と決着も、それぞれ読み応えがあって良かったです。
これまでとは違う世界で、この先彼らがどのような人生を送るのか。もはや知ることはできませんが、その未来に幸多きことを祈りたいと思います。そして、いつの日か、あの3人が再会する日が来ることも……。