以前富士見ファンタジア文庫で「夕なぎの街」という名で2作品発売されていたシリーズ、レーベル&シリーズ名を変更しての久しぶりの新刊です。
収録されているのは、マイカが「夕凪」に居つく以前に関わったある事件の話「夕化粧」と、コウとサヨリがある調査で地方に出掛けたときの話「ほうこぐさ」。「夕化粧」は、弟が普通に若者だったのを見て、この2人にもこういう頃があったんだよなぁとなんとなくしんみりした気分になりました。一方、「ほうこぐさ」はサヨリのちょっとした成長物語。彼女と調査の途中で仲良くなった少年ジンタとの交流はなんとも微笑ましく楽しかったです(それだけに途中でジンタに誤解されたときはちょっと辛いものが) 最後に交わした約束が、そう遠くないうちに実現するといいなぁと素直に思いました。
話的には大きな事件が起こるでもなく地味な印象ですが、それもこのシリーズの味だよねぇとしみじみ思い出してみたり。設定の細かい部分は忘れてしまっていたりもしましたが、少し読むだけでも作品世界の空気は自然と思い出すことができ、独特のまったり具合に心地良く浸ることができて満足。
あああと、お料理の描写はこれも相変わらずなんとも美味しそうで……お腹が減っているときに読むとかなり危険かも……。
作品名 : ゆうなぎ
著者名 : 渡辺まさき
出版社 : HJ文庫(ホビージャパン)
ISBN : 978-4-89425-652-1
発行日 : 2008/1/28