龍族、鳥族、犬族、猫族、人族、そして混血たちの住まう大陸を舞台にした物語、第3巻。
2巻の凶悪なヒキからさてどういう展開になるのかと思っていましたが、予想していたほど怒涛の展開はなく、良くも悪くも地に足のついた話が展開されたなーという感じ。それだけに地味な印象はどうしても拭えませんが、「鋼の風」のメンバーの絆や様々な形で彼らと関わることになった人々との交流やその意識の変化など、じんわりと胸が熱くなってくるものがありました。
散々苦労して勝ち取った領地が、ある悲劇を境に不穏な流れに飲み込まれていき……という展開は苦いものがありましたが、最後に彼らを見送ってくれた人々の姿に力づけられました。「またいつか」、ができるだけ早く訪れてくれることを願うばかりです。
最後に、すっかり忘れかけていたレスティことベルネの目的を思い出したところで、物語は次の巻へ。いまだその真意が見えてこない龍族の動きなども、そろそろ明らかになっていくのでしょうか。気になるところです。
作品名 : 傭兵王 創世の契約3
著者名 : 花田一三六
出版社 : C☆NOVELS FANTASIA(中央公論新社)
ISBN : 978-4-12-501009-0
発行日 : 2007/12