両親の死後、伯父の公爵に引き取られた庶民の少女が貴族社会の中で奮闘する姿と、王家に関わる反体制派の陰謀が絡む「ソフィアの宝石」第2巻。
今回の話は、フィーリス女学院で毎年恒例の感謝祭が近づき、リディアも気乗りはしないものの合唱に参加することになって……というのが導入。起承転結で言えば、承の巻というところでしょうか。
新しい「家族」との関係は、公爵と最初からそれなりに(珍獣扱いにせよ)好意的なクリフや、なんだかんだでお互い意識しているスレイとの関係は良しとして。使用人たちともそれなりの関係を築けているようだし、台詞がまったくないのでやや判断の難しい公爵夫人もリディアとの距離を残念がってるような雰囲気も感じられるし……そうなると家の中での問題はもっぱら従姉との関係改善がなるのかどうか、ですねー。結構難敵のようだけど、どうなることやら。
女学院の場面は、嫉妬からくるやりとりなどは「あーまぁ確かにあるよなこういうの」という感じで若干しみじみしたりしつつ、あまり描写のなかった1巻に比べて全体的にらしい雰囲気が出ていて良かったと思います。あと、友人関係では男友達のジルとの関係が良かった。彼には何とか幸せになって欲しいと思うけど、あの状況からどうなるんだろう……。他、スレイから無意識にせよ嫉妬してるような台詞が出てきたのにニヤニヤしてみたり。初登場の王太子も普通に良い人だったので、今後の活躍に期待。
そんなこんなでリディアと周囲の人間関係を素直に楽しむ一方、見え隠れするいろいろとままならない状況やきな臭い企みがどうなるのかもやはり気になりますね(本筋にあまり関係ないけど、変わったサロンに顔を出したあとのリディアの身も蓋もない感想にちょっと笑った。彼女のこういうドライというか、わりと現実主義なところが好きです) リディアを狙っているなにやら不穏な一派が、この先どのような動きを見せるのか。続きが楽しみなところです。