『戦塵外史 四 豪兵伝』[花田一三六/GA文庫]

 「大陸」を舞台に様々な時代に生きる人々の物語を描く「戦塵外史」シリーズ、第4巻。今回は、雑誌「ザ・スニーカー」やアンソロジーに収録されていた作品をまとめた短編集。

 雑誌収録時に読んでいた作品もいくつかありますが、それも内容を大部分忘れていたりするのでほとんど初読の気分で読みました。
「ファンタジー」というよりは「架空歴史」と括ったほうがしっくりくる作品の数々は、相変わらず一見地味な印象ではありますが中身は熱い。好みを言えば、もう少し深い描写があればいいなーと思う部分もありましたが、短編だしこんなものかなーという気がしなくもなし。
 人斬りを追う警吏や刀鍛冶、荷駄隊や若き傭兵など、一般庶民というにはやや無理があるけれど歴史の流れの中ではさほど大きな存在でもない人々を主役に据え、それぞれの置かれた立場や状況から繰り広げられていくささやかな物語は、歴史の表舞台に立つ花形たちの華やかな物語とはまた違った面白さが感じられます。中でも一際渋いと思えるのが、「最後の仕事」。皇帝の勅命で痩せた土地に赴任した老官僚。領主となった彼は、この土地に適した作物として「芋」に着目して……という地味なのもここまでくれば素晴らしいというぐらいの話。この話で描写される、地位に執着することなく、ただ己の信念あるいは良心に従い行動する領主の生き様が見事。そしてラストの台詞には、ちょっと格好つけすぎだーと思いつつ、それでもやはり格好良いと思ってしまいます。

 さて、これでこれまで発表されていた「大陸」ものはすべて書籍化されたわけですが、今後完全新作の予定が2つあるとのこと。次は一体どのような物語が読めるのか、発売を楽しみに待ちたいと思います。

作品名 : 戦塵外史 四 豪兵伝
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著者名 : 花田一三六
出版社 : GA文庫(ソフトバンククリエイティブ)
ISBN  : 978-4-7973-4535-3
発行日 : 2007/11/15

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