あらすじからオーソドックスなファンタジーっぽいかなぁと判断して購入してみた師走トオルさんの新シリーズ。
内容は、一言で言えばとある国で勃発した内乱を巡る物語で、予想通り直球ど真ん中のファンタジーでした。この巻は王国側の視点で描かれていましたが、あとがきによればDMの連載は反乱軍側から描いた話になっているようで。単純にどちらが正しいと言い切れないような話にしていくのかな(……まぁでも、この巻を読むだけでも王国の貴族にはどうしようもないっぽい連中も多いみたいだけど……) 2つの視点が上手く絡んでいけば、また面白くなりそうだなーとちょっと期待。
で、王国側を主役に据えたこの巻。主人公の騎士アレスは、とある事情から能力的には最強っぽいのですが、主として忠誠を誓っている王女に振り回されたり、わりと昔気質な騎士道精神の持ち主だったりするせいか、あまりそういう印象がなかったり(酷) まぁ、戦闘場面では流石の活躍で格好良さを見せつけてくれますし、登場人物たちとの絡みでは精神的な未熟さなど人間味が感じられていいかもなーと思ったり。
今回の戦闘ではひとまず勝利を収めた王国軍ですが、反乱軍の巻き返しももちろんあるでしょうし。あと、人間たちの争いの影で、本質的には戦いを厭っているアレスをあからさまに流血の道へ導こうとしている「助言者」パンドラと「黄昏の主」は一体何を望んでいるのか。続きが普通に気になるところです。
作品名 : 火の国、風の国物語 戦竜在野
著者名 : 師走トオル
出版社 : 富士見ファンタジア文庫(富士見書房)
ISBN : 978-4-8291-1972-3
発行日 : 2007/10