約2年ぶりに発売の「古典部」シリーズ第4弾。今回は入学からの1年間で古典部の面々が遭遇したさまざまな出来事を切り取った短編集。
雑誌連載を追いかけてないので久しぶりの古典部でしたが、相変わらずの雰囲気で楽しかった。刷り込みも多分にありそうですが、やっぱりこのシリーズが一番好きだなーと改めて思ったり。
内容的にはこれまでどおりの日常の謎系で、短編集ということもあってかその中でもとりわけ他愛の無いものが多かった印象。表題作の書き下ろし「遠回りする雛」なんか、ミステリ部分がなくても青春モノの一幕として十分すぎるほど成立してるし。個人的に一番読んでて楽しかったのは「あきましておめでとう」。ひょんなことから納屋に閉じ込められてしまった奉太郎とえるがどうにか脱出しようとする、まぁそれだけの話なんですが、なんか地味にツボにはまったというか。とりあえず面白かったです。あと、些細な会話とちょっと変わった校内放送から始まる「心当たりのあるものは」もお気に入り。最後のシメが良かった。
あと今回は、恋愛方面がなかなか楽しめました。「手作りチョコレート事件」で描かれた里志と摩耶花の駆け引きは、ほろ苦く切なくてなんとも良い味。で、「遠まわりする雛」では、奉太郎の意識に変化が。彼らの関係の変化も、これからの楽しみになりそうです。(どうでもいいけど、彼らの抱える感情に「あー青春、というか若いねぇ」などと思わずつぶやいてしまうような年齢になってしまったのを自覚し、ちょっと凹んだ)
“『遠まわりする雛』[米澤穂信/角川書店]” への1件の返信