食べ物飲み物に至るまで刺客に警戒怠りなかった李小遊が、猛毒にあたって死んだ。唯一毒味をしなかった薬のせいに違いないと、薬屋を営む蒲半仙は囚われの身となってしまう。娘の公英が悲嘆に暮れていると、客の雲游がやってきて「心配するな。無実を証明すればいいのだ」と力づける。かくして9歳の少女と不思議な力を持つ老人の探偵行が始まった―― (「殺三狼」)
「殺三狼」で第3回ミステリーズ!新人賞を受賞・デビューした作者さんの初単行本。デビュー作の他、3本の短・中編を収録した作品集になってます(ちなみに、作品間を繋ぐ道具等はあるものの、時代や登場人物はそれぞれの話で変わっています)
中国時代モノでミステリというと個人的には森福都さんや真樹操さん辺りを真っ先に思い出すのですが、それらとはちょっと味わいが違うものでした(その辺りの感触の違いは、公式でUPされているあとがきを読んでなんとなく納得。下敷きにしてるのが水滸伝だったり作者の人が武侠ファンという辺りが、作風に出てるんですねきっと)
バカミスっぽいところもありましたが、基本的には本格系かな。正直な話、ミステリとしてはまぁ普通に面白かったというぐらいの感想なのですが、細かい部分の仕掛けや演出が意外と面白かったりして、結構楽しめました。
Webあとがきを読むと次回作の構想もあるようで。次はどういう話になるのか、それなりに楽しみなところです。
作品名 : もろこし銀侠伝
著者名 : 秋梨惟喬
出版社 : ミステリ・フロンティア(東京創元社)
ISBN : 978-4-488-01743-9 → 978-4-488-41311-8
発行日 : 2007/8 → 2010/9/18(文庫化)
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