「封殺鬼」新章スタートに続く霜島さんの新作は、「あちらとこちら」が混じり合う場所を舞台にした物語。
一応退魔モノ要素はありますが、それよりも人間と異形の共存する日常生活を描いた「百鬼夜行抄」系の作品。もともとこういう系統の話が好きなことも手伝って、のんびりまったり楽しみました。とはいえ、そんなのんびり気分ですむ話ばかりということもなく。時折ヒヤリとするモノが紛れ込んでいたりして緩急がついてるなーという印象。
あと、主人公である太一。過去のトラウマから他人との接触を恐れ、また恐怖心を忘れてしまっている彼が、空栗荘で暮らし始めたことで緩やかに変化をみせるのがなんとも良い感じでした。その他の登場人物たちもそれぞれ個性的でそれぞれの良さがあって、面白かったです。個人的には貉がお気に入り。
作品の雰囲気は気に入ったしこの先の太一の変化も気になるので、近いうちにまたこの不思議な場所で暮らす面々の話が読めるといいなーと思います。
どうでもいい独り言。なんか、この人の作品で関西弁キャラだと問答無用で聖を連想しちゃうなぁ。というか、別の場所では聖たちが暮らしているといわれても別に違和感ないかも。
作品名 : カラクリ荘の異人たち もしくは賽河原町奇談
著者名 : 霜島ケイ
出版社 : GA文庫(ソフトバンククリエイティブ)
ISBN : 978-4-7973-4298-7
発行日 : 2007/7/12