テロの脅威に晒されている都市・ミリオポリスの治安維持部隊MPB遊撃小隊に所属する3人の少女たちの物語、第2巻。
1巻の時点では「スプライト」組に比べてやや後方で守備を固めているようなイメージがあった「オイレン」組ですが、2巻目にしてそんな印象は吹っ飛びました。
読了後の率直な感想は、「凄まじかった」の一言に尽きます。
核兵器を用いたテロを目論むテロリストたちに対して、小隊の3人は別々に振り分けられて任務に当たることになるのですが……三者三様、いつもと勝手の違う中でも精一杯戦っている姿が印象的。終盤になってようやく3人が集結・事態の打開に当たりはじめた途端、生き生きと本領を発揮しだすのが素敵でもありまたなんとなく不安を誘うところでもあり。
他、印象的だったのはやっぱり涼月が参加したロシア人特務官率いるチームの姿。あの場面は涼月の最後の叫びに至るまで悲痛にすぎました。
来月発売予定の「スプライト」は今回の事件を別視点から眺めた物語になるようで。「オイレン」でこれだけの物語を読ませてくれたからには、もう一つの物語にも嫌でも期待が高まりますね。
作品名 : オイレンシュピーゲル弐 FRAGILE!!/壊れもの注意!!
著者名 : 冲方丁
出版社 : 角川スニーカー文庫(角川書店)
ISBN : 978-4-04-472902-8
発行日 : 2007/5