ノベルジャパン誌上にて連載中の正統派ファンタジー。雑誌掲載分に加えて書き下ろし中編を収録しての文庫化。
古より続く王国に生を受けながら、異邦人の母譲りの異貌と生来の聡明さゆえ父に疎まれた第四王子が国を出奔、亡き母の形見の剣を携え旅に出る――という導入からはじまる物語。なんとなくエルリックあたりを連想する、今時珍しいぐらいに直球勝負なファンタジーでした。ただ、読んでいる最中、面白いんだけど、もう一押しが欲しいなぁと思うことがしばしば。いや、面白かったのですけど、なんかこう、いまひとつ乗り切らなかったというか不完全燃焼感があるというか。どうやら相当の長編になりそうなシリーズの1冊目だしこんなものかなーとも思いますが……。
とはいえ、アレクを取り巻く数々の謎や、この先彼をどのような運命が待ち受けているのか等、気になることが多いのも事実ですし。次巻でどういう風に物語が展開していくのか、地味に楽しみではあります。