『黒い季節』[冲方丁/角川書店]

 長らく絶版になっていた冲方氏のデビュー作が装いも新たに復刊されたので、いそいそと購入。ちなみに、旧版はずっと探していたものの縁なく巡りあえなかったので、これが初読になります。

 どんな話かと思っていたら、意外と真っ当な伝奇ファンタジーだったんだなーというのが、一読した感想でした。
 極道者の抗争と不可思議な技を行使する術者の暗躍。災いをもたらすという「土の絵」が二つの出来事とそれに関わる人々を結び付けていく、というのがおおまかなストーリィ展開。視点がころころ入れ替わるためか登場人物の心理描写に物足りなさを感じたりもしましたが、それでも随所でいかにも冲方氏らしい演出が見受けられて楽しめました。
 ただ、終盤は各登場人物を上手く捌ききれてない感が。今の冲方氏ならもっと丹念に描写するだろうなーと思える場面だったので、それはちょっと残念だったかも。

 1作で完結しているといえばしてますが、術者たちの争いは決着したわけではないし、舞台を移しての続編もあってもおかしくなさそう。というわけで、そのうちにでも続編書いてくれないかなぁと、自分で言ってて無理っぽいとは思いつつお祈りしておきます。

作品名 : 黒い季節
    【 amazon , BOOKWALKER
著者名 : 冲方丁
出版社 : 角川書店
ISBN  : 978-4-04-873747-0 → 978-4-04-472910-3
発行日 : 2006/12 → 2010/8/25(文庫化)

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