カタストロフィー後に形成された歪な支配体系と対峙する二人の若者とその仲間たちの物語、最終章開幕。
フェンリルとサラの再会で終幕となった「神話の子供たち」から4年の歳月が経過し、二人が身を寄せているレジスタンス組織も勢力を増していた。そんな中、サラたちは失敗できない作戦を実行に移すことになり……という展開。
作中でも思わぬ展開があったりしましたが、何より驚愕したのがあとがきの「次巻が最終巻」という言葉だったかもしれません。つーか、銃姫8巻以上に「本当にこれで終わるのか?」という疑問で一杯なのですが。いや、あっちに比べればすっきりとした寄り道のない構成なので大丈夫なような気もしますが、それでもまだ回収途中の伏線が結構あるし。
それはさておき、作品内容はというと。レジスタンスたちの作戦実行の段階では、これまでの話と同じくシティの暗部を描写しつつ話を進めるために伏線も回収していってるという展開でまぁ普通に面白いという程度だったのですが、作戦実施後のユージンの冷静かつ老獪な対応で一気に大きく動いた感がありますね。ユージンがアレを保管しているだろうというのは予想の範囲内でしたが、それでもフェンたちがそれにどういう風に対処していくのかは気になるところです。それにしても、フェンの告白場面ではレジスタンスのメンバーたちの反応に、あんたらいままでフェンの何を見てきたんだよ……と、少しばかりやるせない気分になってしまいましたよ……タウバとサラに救われたけど……。
さて、タウバと共にレジスタンスから離れたフェンの悲願は、無事に果たされるのか。サラが向かおうとしている母の故郷では、一体何が待っているのか。そして、底の見えないユージンの真意はどこにあるのか。いろいろ予想しつつ、最終巻を楽しみに待ちたいと思います。