寒露の夜、京随一の遊女が殺された。凄惨な殺害現場には半月前に死んだ女が居たという。腕っ節は強いが大の幽霊嫌いの検非違使・龍雪は、奇妙な縁から事件を追うことになるのだが――。
第18回日本ファンタジーノベル大賞、優秀賞受賞作。
「室町時代を舞台にした伝奇ミステリー」という売り文句ですが、伝奇要素も多少はあるものの基本はミステリという感じ。そしてミステリとしては、それほど凝ったものでもなく、普通に読んでればおおよそ見当はつくといった程度。とりあえず、主人公には何度か「いや、そこはもう少しツッコメよ」と言いたくなった。
あと個人的好みで物申せば、下手にミステリ仕立てにしなくても良かったんじゃないかなーと。いや、随所随所で引き込まれる描写や雰囲気はあるだけに、あえて理詰めで解決しなくても、もっとこう、情念ドロドロの怪しい世界に浸らせてくれたほうが良かったなーと。結局は普通のミステリになっているのがなんとなく勿体無い気がするのですよ(←伝奇好き)
まぁともあれ、雰囲気等は決して悪くなかったので次回作も普通に期待。