薬師のカナギと謎の詩人、元暗殺者の少女ミリアンの3人の旅路を綴ったシリーズ第4巻。
今回の話は、事件そのものにも連続性があったことも手伝い、『フィオーレ』と合わせての一場という感じ。主軸になっている「黒いゆりかご」との死闘はなかなか派手で面白かったですが、そちらよりも見え隠れする世界設定と登場人物たちの多種多様な関係に興味を惹かれました。
登場人物的に一番顕著な変化があったのは、やっぱりカナギとミリアンの関係でしょうか。そんなそぶりあったかなーとちょっと首を傾げもしましたが、まぁこれはこれで今後の行方が気になるから良し。一方、「心がない」はずの詩人も、カナギとミリアンと共に旅を続け、さらにはミリアンに「練り直された」ことで確実に変化が。バシュラールの問いに、「ただの人間」と答えた時の彼の想いは、一体どんなものだったのでしょうねぇ。あと、バシュラールには気持ちは分からなくもないけど勝手だなぁ、と思いましたね(苦笑)
状況的に仕方がないとはいえ詩人と離れ離れになったカナギとミリアン。帝都に舞台を移す次巻以降、彼らにどのような運命が待ち受けているのか。続きが楽しみです。
作品名 : オペラ・エリーゾ 暗き楽園の設計者
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著者名 : 栗原ちひろ
出版社 : 角川ビーンズ文庫(角川書店)
ISBN : 978-4-04-451404-4
発行日 : 2006/10/31