過疎の進む愛知県のとある村。無形文化遺産にも指定されている奇祭「天狗の鬼退治」を間近に控え、村は久々に沸き立っていた。天狗役となったのは、買付け交渉で知人宅を訪れていた骨董店主見習いの大学生・辻屋祥一郎。一方、主人公であるお多福役に選ばれたのは、地元の高校生・香坂瑞穂。2年前にお多福役を引き受けた女性が失踪したことに怯える瑞穂は役目を引き受けることに抵抗するが、対面した祥一郎とその友人の淳之介に影響され、祭りに参加することに。
少女向けレーベルでは久々の新規参入組。公式の紹介やらを読む限り、とりあえずBLではなさそうだったので購入してみました。この作者さんは、以前にソノラマ文庫で作品を発表されていた方ですね。
感想を一言で言えば、無難に面白かったというところ。ただ、あらすじからもっと伝奇色の強い作品を期待していたので勝手に拍子抜けしてしまったり、途中で挿入された祭りの元になった戦国期の話は、まぁこれはこれで面白いけど実は事件に直接関係ないようなというかここで挿入する意味あるの?とちょっと思ったりはしましたが。
伝奇じゃなければ、公式で「フォークロア・ミステリー」と宣伝されているとおりなのかといえば、これもまた微妙な感じで。……まぁ、1巻目ということでどうしても主要登場人物紹介編といった趣になりますし、この点は仕方がないのかも。登場人物にはなかなかに個性的な面々が揃っていたので、続刊が出て彼らがもっと積極的に絡んでくるようになればもっと面白くなっていきそうですしねー。
そんなわけで、ひとまず続刊が出ることを祈っておきます。