先王の隠し子という巫女姫を擁する七都市が並び立つ地、東和。七番目の姫として擁立された少女・空澄(カラスミ)を中心に移りゆく時間や世界を描いた物語、第4巻。
あとがきで作者氏自身も語られていますが、今回の話は3巻でやや持ち上がった視点はそのままに、それでも少し空澄の視点に沿ったところから語られていた印象。それにともない、前巻で少し物足りないなーと感じていた、空澄が自然体で世界に触れていく姿が戻ってきていたのがなんとなく嬉しかったです。
内容としてはあいかわらずの超安定株というところで、独特の穏やかな雰囲気には1巻のころから変わらぬ心地よさを感じます。その一方で、東和の地を巡る情勢はけして楽観できるものでもなく。緩やかに確実に移ろい行く彼の地の先行きには、嫌がおうにも興味をそそられます。
様々な立場の人間の思惑が交錯する中、空澄と二人の共犯者たちが進む道。その行き着く先は何処なのか――続きが語られる日を、のんびり待ちたいと思います。
作品名 : 七姫物語 第四章 夏草話
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著者名 : 高野和
出版社 : 電撃文庫(メディアワークス)
ISBN : 978-4-8402-3561-7
発行日 : 2006/9