今月2冊目の矢崎さんの作品。題名からも分かるとおり、今回は「ぶたぶた」シリーズではなく完全新作。どうでもいいけど、この文庫の本の感想書くのは今回が初めてですね。
さて、作品の内容はというと。主人公は、人より不思議な出来事に遭遇しやすく、それ故になんとなく故郷で居心地の悪い思いもしてきた少女・香絵。高校卒業と同時に東京に出て、探偵事務所で事務のバイトとして働いていた彼女が、あるとき持ち込まれた事件をきっかけに、少し不思議な調査に関わることになって……という展開。ぶたぶたとはまた少し違ったハートウォーミングもの、という印象。持ち込まれる各々の事件(あるいはそれより前の段階)に悩み苦しんでいた人たちが、どんな形であれそこから解放される過程は、基本的には優しく前向きなので(勿論それだけでなく、ほろ苦さを含んでいたり悲しい結末となってしまったものもありますが)、読んでてほんのり暖かな気分になれますし。そして数々の事件に関わることで、香絵もまた少しずつ変わっていくのが良かったです。
幕引きは、1巻完結でもおかしくはない感じだけど、逆にシリーズ化しても問題なさそうな感じでもあり。この先も、香絵や日向さんたちがちょっと不思議な事件に関わっていくのを読めるならそれはそれで楽しみだなーと、希望をこめて呟いておきます。
作品名 : 神様が用意してくれた場所
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著者名 : 矢崎存美
出版社 : GA文庫(ソフトバンククリエイティブ)
ISBN : 978-4-7973-3715-0
発行日 : 2006/8/10