『流血女神伝 喪の女王4』[須賀しのぶ/集英社コバルト文庫]

 架空歴史ファンタジー「流血女神伝」、最終章ユリ・スカナ編第4巻。思いがけずバンディーカと対面を果たしたカリエ。会話するうちに聡明な女王に惹かれるカリエだったが、やがて女王を蝕むモノの一端を見て衝撃を受ける。それから程なくして、ユリ・スカナは大きな岐路に……といった展開。

 3巻に引き続き、バンディーカの過去に焦点が当たった巻でした。ただ、偉大な女王としての姿が眩ければ眩いほど、この巻での彼女の衰えはやるせなかったです。それに私人としては、とても幸福とはいえない人生だったのもまた悲しい。最期に迎えに来た彼に、ようやく本当の思いを打ち明けられたのはせめてもの救いとなったでしょうか。そして、遂に正式に即位したネフィシカ。露骨な描写はそれほどないのに、やたら怖いのは何故だろう。しかし、ネフィシカなりにユリ・スカナを想っている、という言葉があったのはなんとなく嬉しかったですが、そうなるとそのうち……深く考えるとまた凹みそうだから止めておこう。あと、初めて明かされたイーダルの内面。予想以上に黒いというか歪んでいるというかでとにかく驚かされましたが、境遇を思うと仕方がないのかな……。彼が今後どう動くかも気になるところ。ユリ・スカナ三姉弟最後の一人グラーシカは、ルトヴィアで気を張っていた反動か、帰国してからの彼女は弱さが目立っていた気がするのですが、今回ちょっと復活したか?と思える描写が嬉しかった……その一方で、着々と死亡フラグが立っていってるような気がするのは気のせいだと思いたいです(涙) そしてサルベーン。あの人に関しては限りなく黒に近い灰色だと思うのですが(やっぱり基本的には寿命だろうし)、もう一方の人に関してはどう考えても黒っぽい……つーかお願いだからラクリゼ、早く復活してこの大馬鹿張り倒してください(目が真剣)
 一方、カリエはというと、久々に惚れっぽさ発揮(笑) この場面のみならず、暗く重くなりがちな今回の話で相変わらず適度にお馬鹿(←褒め言葉)な彼女は息抜き的な感じでしたが、最後には遂にというか、本格的に激動の只中に。この状況からどんな展開になっていくのか。本当、続きが待ち遠しい。それにしても、ネフィシカの「バルアンには手を出させない」という発言が気になるな……ビアンを介して既に密約でも取りつけてるのか?

 次巻では他国組の動向も取り上げられそうで、それも楽しみ。早く読めるに越したことはないですが、5巻はお体の具合もあって少し間が空くようですし。いろいろ予想(妄想ともいう)しながらのんびり待ちたいと思います。

作品名 : 流血女神伝 喪の女王4
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著者名 : 須賀しのぶ
出版社 : 集英社コバルト文庫(集英社)
ISBN  : 978-4-08-600803-7
発行日 : 2006/7

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