0905購入メモ(その1)。

『身代わり伯爵と伝説の勇者』[清家未森/角川ビーンズ文庫]【amazonbooplebk1
『横柄巫女と宰相陛下』[鮎川はぎの/小学館ルルル文庫]【amazonbooplebk1
『鹿鼎記6 クレムリンの女帝』[金庸/徳間文庫]【amazonbooplebk1
『叛旗兵(上) 妖説直江兼続』[山田風太郎/徳間文庫]【amazonbooplebk1
『叛旗兵(下) 妖説直江兼続』[山田風太郎/徳間文庫]【amazonbooplebk1
『世界画廊の住人』[栗原ちひろ/幻狼FANTASIA NOVELS]【amazonbooplebk1
『魔女の戴冠 III』[高瀬美恵/幻狼FANTASIA NOVELS]【amazonbooplebk1
『火鳳燎原 33』[陳某/東立出版集團有限公司]
『火鳳燎原 34』[陳某/東立出版集團有限公司]

あと台湾版の『オペラ・エテルニタ』と『オイレンシュピーゲル弐』も購入してみた。

『天涯のパシュルーナ 1』[前田栄/新書館ウィングス文庫]

 前田栄さんの新シリーズは、独自の信仰と文化を持つ山間の小国を舞台にした王道ファンタジーでした。

 シリーズ1作目ということで、まだまだ序章というか。導入&基本設定説明&登場人物紹介編という感じの内容でしたが、それでもなかなか面白かったです。
 主人公となるのは、養父の後を継いで山賊の頭目となった少年トゥラルク。彼が、実は生後間もなく誘拐された王国の第一王子である、として王国でも切れ者として知られる青年貴族・ヒルクィット卿に保護(というか確保というか)されて……というのが物語の導入部。トゥラルクからしてみれば到底信じがたいことなので、ヒルクイットのでっちあげだという認識なのですが、それにしては思わせぶりな描写が多々あるので、まぁヒルクイットの話には最低でも何割か(もしかするとほぼ100%ぐらい)は真実なのでしょうが。第一王子が生後すぐに告げられた「神託」、そしてヒルクイットの娘に告げられた言葉を思うと……果たして彼の持つ運命が、王国にどのような波乱をもたらすのか、気になるところ。
 登場人物については、まだまだ地が出てなさそうだと思う人もいますが、それでもわりと個性的な面々が揃っていて、端々から人となりが自然と伝わってくるそれぞれの行動や会話がなかなか楽しかったです。……それにしても、この先腹の探り合いとか嫌み合戦が楽しくなっていきそうな気配があるのは個人的にはとても嬉しいのですが、そうなると(いろんな意味で)頑張れ主人公負けるな主人公状態が加速しそうだなーと思ったり思わなかったり。

 さて。この先どうなるにせよ、波乱の人生を送ることだけは確定してしまったトゥラルクが、とりあえずはどんな苦労をする羽目になるのか。ロマンス増量も期待しつつ、2巻を楽しみに待ちたいと思います。

作品名 : 天涯のパシュルーナ 1
    【 amazon , honto
著者名 : 前田栄
出版社 : 新書館ウィングス文庫(新書館)
ISBN  : 978-4-403-54137-7
発行日 : 2009/4/30

0904購入メモ(その3)。

『知っておきたい「お金」の世界史』[宮崎正勝/角川ソフィア文庫]【amazonbooplebk1
『月花の守人 忘却のルカと月神の花嫁』[山本瑤/集英社コバルト文庫]【amazonbooplebk1
『雪の王と紅玉の少女 ミンスラー物語』[崎谷真琴/集英社コバルト文庫]【amazonbooplebk1
『ペテン師一山400円』[嬉野君/新書館ウィングス文庫]【amazonbooplebk1
『天涯のパシュルーナ 1』[前田栄/新書館ウィングス文庫]【amazonbooplebk1
『金春屋ゴメス 異人村阿片奇譚』[西條奈加/新潮文庫]【amazonbooplebk1
『秘本三国志2』[陳舜臣/中公文庫]【amazonbooplebk1
『イスタンブールの毒蛇』[ジェイソン・グッドウィン/ハヤカワ・ミステリ文庫]【amazonbooplebk1
『黙星録3 世界が視るのは最期の夢』[荻野目悠樹/ハヤカワ文庫JA]【amazonbooplebk1
『マカーマート3 中世アラブの語り物』[アル・ハリーリー/東洋文庫]【amazonbooplebk1
『経理のおしごと手帖』[小泉禎久/日本実業出版社]【amazonbooplebk1
『ノルマン騎士の地中海興亡史』[山辺規子/白水Uブックス]【amazonbooplebk1
『アイゼンファウスト 天保忍者伝1』[長谷川哲也/講談社KCデラックス]【amazonbooplebk1
『アイゼンファウスト 天保忍者伝2』[長谷川哲也/講談社KCデラックス]【amazonbooplebk1

ビーンズ文庫新刊は購入タイミングが合わなかったので幻狼の新刊と一緒に購入予定。
『経理のおしごと手帖』は、よく考えたら経理の基本をきちんと教わったことないんじゃなかろうかと今更思ったので、さらっと流すようにとりあえず購入。
『アイゼンファウスト』は山風の『忍者黒白草紙』のコミック化。原作は既に絶版でレア度もわりと高い部類に入るため、あいにく未入手&未読。(amazonとかで買えなくはないんだけど、ねぇ……) 各所のレビューを見てるとコミック流のアレンジもしつつ、ちゃんと原作の面影は残ってるらしいので、楽しみなところ。

『室町少年倶楽部』[山田風太郎/文春文庫]

 自己満足企画・「山風作品の感想を書こう!」、今月は室町ものから『室町少年倶楽部』を選んでみた。
 室町幕府八代将軍・足利義政の幼年期から晩年までの半生を描いた表題作の他、籤引きによって将軍に選ばれた(←史実)室町幕府六代将軍・足利義教の最期に至るまでを描いた「室町の大予言」を収録。

 「室町の大予言」は、その治世が「万人恐怖」とまで表現される義教の残虐性が第一の特徴かな。個々の行跡はむしろあっさりめに書かれているぐらいだと思うのですが、だからこそその理不尽さ・異常さが際立ってるというか。とりわけ六角牢の処置は、一度流しかけて「……待って今何かものすごく変じゃなかった?」と思って再度同じ部分を読み直し&作者の説明にうぎゃーとなった。あともう一つの特徴は、ある予言書の存在。ある家臣の家に伝わる書物に記された内容が、何を示しているのか。義教とその家臣の関係も含めて、次第に「ある史実」と奇妙な符合を見せるようになっていくその予言の行き着く先は……読んでからのお楽しみで。

 「室町少年倶楽部」は全3章。第1章は、幼年期。まだ三春丸と呼ばれている義政とその兄貴分でこちらもまだ少年ながら管領となっている細川勝元、二人の子供らしい友情と冒険が、それこそ児童書のような語り口で紡がれていきます。……ここで終わっていれば、例えば小学生あたりに読ませても無問題の実に爽やかな内容なのですが、そうは問屋がおろさないのが現実のシビアなところというべきなのか。続く第2章になると、文体とともに雰囲気ががらりと変わり、描き出されるのは人に世の業の深さ。本質的なところは第1章のときと変わっていないはずなのに、それでも「何か」が決定的に変わってしまっていく登場人物たちの姿と混迷の度合いを深めていく世相の描写には、なんともいえない気分にさせられます。終幕直前に義政が「はじめて胸の痛みを覚えた」情景は、輝かしい未来を感じさせる幼年期の描写があったからこそ、だよな……。
 人間関係の破綻はもはや取り返しがつかず、世の混迷の果ては見えず……この物語をいったいどうやってまとめ上げるのかと思っていたところで、ラストの一文。端的に事実を告げているだけにもかかわらず、凄まじいまでの切れ味で有無を言わさず物語の幕を下ろしてしまう一言には、何度読んでも背筋が震えます。

 どちらの作品も、どこまでが創作でどこまでが史実なのか易々と悟らせず、実は本当にこんなことがあったんじゃないかと思わせる作者の技が冴えた名作。

作品名 : 室町少年倶楽部
    【 amazon , BOOKWALKER
著者名 : 山田風太郎
出版社 : 文春文庫(文藝春秋)
ISBN  : 978-4-16-718315-8
発行日 : 1998/8

『夜は短し歩けよ乙女』京都公演を観にいってきた。

なんで1日だけ、しかもわざわざ造形芸術大で!(←単に、自宅とほぼ正反対の方向になるので、自分が行くの面倒というだけ)と呟きつつ、観にいってきました。
さすがに端折ってあるところも多かったけど、原作の雰囲気にに可能な限り近づけたという感じで、わりに楽しめました。そしてパンフレット見た段階では、「何かイメージ違うなぁ……」と思う配役が多かったけど、実際に動き始めると馴染んでくるというか。なんとなくそれぞれが「らしく」見えてくる不思議。
以下、印象に残ってる場面の簡単感想。
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