Xrea+からさくらへお引っ越し。

ここ数年Xrea+に間借りしていましたが、どうもトラブルが多い&それについて公式にアナウンスがないことも多い&サポートがないに等しいという状況にどうにも不安が募ってきたので、先日の騒動を機会に久しぶりにレンタルサーバを変更することにした。引っ越し先は、コスト的にもまぁ無難な線だろうということでさくらを選択。
さくらへのWPの導入については、「さくらインターネットで WordPress」を参考にさせていただきました。この通りの手順で、特に問題なくWPの導入終了。続いてデータをインポートして各種微調整。さらについでに独自ドメインも移管。問題なく動いているのを確認してからXrea+のデータを削除して、無事引っ越し完了。
今度こそ安心して定住できると良いなぁ。

『紫色のクオリア』[うえお久光/電撃文庫]

 うららさんが運タロ部の人は読むと良いとオススメされていたので手に取ってみた。要約してしまえば、「人間がロボットに見える」女の子・毬井ゆかりと、その親友となった女の子・波濤学の物語……となるのでしょうが、「すこしふしぎな日常(ちょっと百合風味)」の枠で収まらない内容だった。つーか、この表紙でこの中身はある意味とても詐欺だと思う。

 1話目は登場人物紹介編かつ「ゆかりの見え方」に焦点を当てたプロローグ的話。かつてゆかりの親友で、しかしある出来事を境に彼女を目の敵とするようになった女の子・天条七美の存在も交えつつ、ゆかりの見え方、そしてそれ故に生じる特殊性が語られていくという流れ。その能力の真髄に驚きつつも、まぁこちらはまだ「すこしふしぎ」の範疇に収まる話かなーなどと思っていたら、2話目がジャンル的にはSF方面に向かってぶっ飛んでた。なるほど、運タロ部が読むと良いと言われるわけだなぁと納得の内容でした。あとsoundseaさんの「むしろティーパーティー読むと良い」発言にもうむうむと同意。皆川ゆか読者的に解説するなら、プロメテウス思考の持ち主がティーパーティーの世界に放り込まれて、ただ一つの目的を追い求め追い求め追い求め続けて――○○の罪を自覚しないまま○○を○してしまう話、となるかな?(バレっぽいと思う単語を伏せてみたら何が何だかになった。しかも、なにかずれてる気もする。まぁいいや←適当) 映画で言うと「バタフライ・エフェクト」をとても思い出した。無限に等しく繰り返されるトライ&エラーの果て、誰よりも守りたかった人の口から過ちを指摘され、赦され、そして現実と向き合い新しい一歩を踏み出す彼女。その選択が、この物語に関わった少女たち、皆がそろって幸せになれる未来へつながる光の道であることを、そっと願いたくなる心境でした。
 締めくくりとなるエピローグが、タイトルを含めて「さてこれはどういう意味だろう」といろいろ深読みできるのも良いなぁ。

 オススメされないと多分手を出さなかっただろう作品でしたが、素直に面白かった。良かったです。オススメしてくださったうららさんに感謝。

作品名 : 紫色のクオリア
    【 amazon , BOOKWALKER , honto
著者名 : うえお久光
出版社 : 電撃文庫(メディアワークス)
ISBN  : 978-4-04-867904-6
発行日 : 2009/7/10

『扇舞う 1』[駒崎優/幻狼FANTASIA NOVELS]

隣国・今居家の侵略により、父と兄を失い、十二歳という若さで応義家当主となった祥三郎。居城を今居の軍に囲まれ絶体絶命の状況に追い込まれた祥三郎は、隠居したかつての応義家軍師にして自身の大叔父にあたる長坂藤兵衛に助力を願う。はたして祥三郎は応義家再興を果たすことができるのか?

 駒崎さんの新作は日本の戦国時代に架空の国を配置しての国盗絵巻。内容はざっとまとめると、元服したばかりでまだ幼く内気な少年(しかし聡明ではある)が、周囲の助けを得て失った城を、やがては国を取り戻そうと立ち上がるという、この手の話では王道な展開。幻想水滸伝とかあのあたりにハマった経験がある人にオススメできそう。いっそ泥臭いまでの王道展開を緩急つけて描き、見せ場もしっかり盛り上げてくるあたり、西洋史と日本史の畑は違えどもさすがだなぁという感じでした。
 また、物語を彩る登場人物たちもなかなかに魅力的。健気な祥三郎はもとより、御家再興を願い幼い主君に忠誠を誓う家臣、協力者となる海賊や商人たち、さらにはかつて応義の家臣であったものの立身出世を志し今居に移った武将等々、それぞれ個性と癖のある人々が登場。それぞれの立場や想いから彼らがどんな行動をとっていくのか。それがちゃんと納得できるように描かれているので、物語がよりリアルに感じられたように思います。もちろん、中にはまだその真意が推し量れない人もいるのですが、まぁそれは次以降のお楽しみなんだろうしーというわけで、気楽にあれこれ予想して楽しんでます。

 物語は序盤からそんなに藤兵衛の思惑どおりに進んでいいのか?と思うぐらいトントン拍子に進んでいたのですが、やはりそうそう上手く事が運ばないのが世の常で。思わぬところから(というか、情報管理を関係者に徹底させていなかったのが迂闊だったよな、と思う)一気に危機にさらされた祥三郎。彼と応義家臣たちを匿った村人たちを逃がすため、文字通り命をかけた武将の見事な最期には、涙せずには居られませんでした……。さらに、追っ手を逃れるため危険な賭けに出た祥三郎たちの安否は如何に、というところで以下続く。続きが気になりすぎるので、「もう少し成長した祥三郎の姿」(byあとがき)ができるだけ早く読めると良いなぁと思います。……ついでに、ちやちゃんも早くかわいい娘さんに成長して祥三郎との間に淡い恋心が芽生えてくれないものかとこっそり期待。

作品名 : 扇舞う 1
    【 amazon , BOOKWALKER , honto
著者名 : 駒崎優
出版社 : 幻狼FANTASIA NOVELS(幻冬舎)
ISBN  : 978-4-344-81689-3
発行日 : 2009/6/30

『悪魔のソネット 豪華客船は悪魔と一緒』[栗原ちひろ/角川ビーンズ文庫]

 逆ハーラブコメ+退魔バトルファンタジー、「悪魔のソネット」第3巻。事前の予想通りルーナエが出番増な巻でした。

 感想。えーとまぁなんというか、尊大な態度は変わりないものの最終的にはジャスティンに手懐けられているルーナエが大変微笑ましかったです。あと、ジャスティンとレクスのらぶも順調に育っている模様。ただ、「悪魔が人間らしくなる」ことに関してやや不安な要素が提示されたのが気になるところ。彼らがわいわいやってる姿を見るのは楽しいので、悲しい終わり方にならないといいなぁと思います。
 そんなこんなで着実に関係を深めているジャスティンと悪魔たちにほのぼのする一方、彼女たちにそれぞれの思惑で関わる人々の思惑のドロドロ具合も着実に上昇中。不穏な空気が色濃く漂いはじめた状況が大変に面白かったです。つーか某御仁の発言は、最初からこの人黒いだろうとは思ってたけどやっぱり黒いなぁと思うなどした。

 あとがきによれば、次巻は首都編。物語も容赦なく佳境に突入していくとのことで・・・ということはあと2~3巻で幕が下りるぐらいの構想なのかな? ともあれ、この先いったいどんな展開が待っているのか。続きを楽しみに待つことにします。

作品名 : 悪魔のソネット 豪華客船は悪魔と一緒
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著者名 : 栗原ちひろ
出版社 : 角川ビーンズ文庫(角川書店)
ISBN  : 978-4-04-451411-2
発行日 : 2009/7/1