古都・甘味処巡り覚書(その十三)。

秋なので栗のお菓子を食べよう企画。今日は「紫野和久傳」堺町店に行ってきました。
ちなみに目当ては11月中旬までの期間限定商品・くりの葛焼です。

「紫野和久傳」くりの葛焼

説明書きによると、裏ごしした栗を和三盆糖と本葛で練り上げて作られているそうです。ほんのり温められた葛焼きはしっとり柔らかく、それだけですっきり上品な甘さを堪能できるのですが、そこに栗のほっくり香ばしい風味が加わって良いアクセントになっています。
セットのお抹茶は、若干ほろ苦さは感じるものの、飲みやすく仕立ててあるなーという印象。葛焼きと一緒に、美味しくいただきました。

古都・甘味処巡り覚書(その十二)。

……今更だけど、そもそも甘味「処」巡りだったはずなのに、もはやただの甘味巡りになってるような気がしなくもない。まぁいいや(適当)
まぁそれはさておき、秋なので栗のお菓子を食べよう企画実施中。
今回は仕事の合間に桂離宮まで足を延ばして、「中村軒」で栗餅とうさぎ薯蕷買ってきました。栗ちゃきんは10月開始なのでまた次の機会に。

「中村軒」うさぎ薯蕷(左)と栗餅(右)

栗餅は手むきの栗とこし餡をつきたての柔らかいお餅でくるんだもの。栗のほっくりした風味(甘くはない)とこし餡の控えめな甘さが上手い具合に互いを補っているというか。良く伸びるお餅もあわせて、実にうまうま。(ちなみに、半分に切ったところも写そうと思ったのだけど切断面がぐちゃぐちゃになったので断念したorz)
うさぎ薯蕷は、栗餡がたっぷりつまってます。こんな感じです。

うさぎ薯蕷の断面図
もっちりした皮の食感がいかにも、という感じ。肝心の栗餡はややあっさり目というか。あまり強く主張はしてきませんが、ほんのり栗の風味が漂っていて実に良い。

ちょうど前日に食べた嘯月の栗きんとんと比べると、より庶民的な味という印象のお菓子(嘯月の生菓子は、何気ないようでいて実はものすごく洗練されている感がある) どちらが美味しいというわけではなく、それぞれ方向性の違う美味しさを堪能いたしました。

古都・甘味処巡り覚書(その十一)。

ぼちぼち栗の出回る季節になったので、栗のお菓子を食べよう企画を発動してみる。
まず、某季節限定スイーツ事件の影響で栗きんとん食べたいーという心境になっていたので、時期的にちょっと早いかもと思いつつ駄目もとで「嘯月」さんに電話。
栗きんとんはまだ早いですかねーと聞いてみたところ、思いがけず「1~2時間程度で食べてくれはるんやったら大丈夫ですけど……」というお返事が頂けたので、食べます食べますむしろすぐ食べますとばかりに勢い込んで注文した。
もともとこちらのお店の栗きんとん(というより生菓子全般)は鮮度が命!なので、商品を受け取った後は大急ぎだった。

「嘯月」栗きんとん

こちらの栗きんとんは、粉にした栗と白餡を合わせたそぼろのみで作られています。中にこし餡等も入っていません。直球勝負です。
そういえば、「形が茶巾じゃないよ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、京都では茶巾形のほうが珍しいような印象があるかなぁ。単に、私が行くお店で茶巾を「きんとん」と銘打ってるものを見かけないだけかもしれませんが。むしろ茶巾形と言われたら、祖母が好きだった影響でまず栗の子を連想するものなー私。……まぁそんな雑感はさておいて。

雰囲気出すために購入した御菓子楊枝でやわらかいきんとんを二等分し、まずひとつめをぱくり。
口にした瞬間、まるで自然の栗の風味をそのまま閉じ込めたかのようで、しかし、それだけではこの味になり得ないという、素朴で上品で豊かな甘みがふわりと広がります。
風味を届けると同時に、そのまま舌の上で溶けていくようなそぼろのなめらかさ・瑞々しさがまたなんとも言えない。
ゆっくり堪能するつもりが、瞬く間にみっつとも平らげてしまいました。まさに絶品、まさに別格としかいいようのない味です。

0909購入メモ(その1)。

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『翼の帰る処2 -鏡の中の空-(上・下)』[妹尾ゆふ子/幻狼FANTASIA NOVELS]

 過去視の力を持つ病弱中年官僚が(全く乗り気ではないのに)様々な問題に挑むファンタジー、「翼の帰る処」第2章。

 北嶺の格上げに伴い皇女も王となりただでさえ気苦労が増えたところで、とどめが皇女の「お願い」と皇帝の「嫌がらせ」の相乗効果による自身も貴族の身分(それも帝国の中ではかなり格上)を得てしまったヤエトが不憫で不憫で笑えました。しかし、隠居の夢が遠ざかったことで不貞腐れて手を抜いたりせず、文句を言ったり許容量超えて倒れたりしながらも仕事はきっちりかっちりやり遂げるヤエトはいろんな意味で損な性分&苦労人だなぁと思いました。まぁ、そういう姿が他人の信頼や好意を得ることにもつながっていくので結果オーライ……といっていいのかどうなのか微妙に悩むところではあります。ヤエト的にそれが嬉しいかどうかは全く別問題だし。全く、天然人たらしは辛いね(笑)
 そんな感じで様々な難題を前に奔走するはめになるヤエトや、前エピソード同様、個性的な登場人物との掛け合いを気楽に楽しむ一方で、今回の話では静かに激化していく帝国内部の後継者争いの趨勢にハラハラしました。初登場となった第二皇子は今のところ、味方というほど近くはなく、敵というほど遠くもなしという感じですが……それだけに、この先どのような関係になっていくのか楽しみだなーと思います。勿論、他の皇子たちも登場が楽しみです。
それから、もう一つ気になるのは予言の存在か。こちらの問題は成就を阻まねば、ということは分かるものの具体的な方策はと聞かれるとどうにもつかみどころがないという厄介な代物ですが、果たしてヤエト達はどのように対処していくことになるのか気になるところ。……ところで、ヤエトの過去視でちらりと姿が見えた妖魔の王様と楽人のコンビにニヤニヤしたのは私だけじゃないよね?

 さて。とりあえず一難は去ったものの、帝国の後継争いや恩寵の力が増す世界の行く末等が何とかならないことにはこの先も難問が生み出されるのは確実なわけで。生に対する執着を少しは持つようになったヤエトですが、彼は果たして無事に隠居できるのか(笑) それも含めて、この物語の行く末がとても楽しみです。

作品名 : 翼の帰る処2 -鏡の中の空-(下)
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著者名 : 妹尾ゆふ子
出版社 : 幻狼FANTASIA NOVELS(幻冬舎)
ISBN  : 978-4-344-81740-1
発行日 : 2009/8/31