『ミストクローク―霧の羽衣 (1)新たな救い手』[ブランドン・サンダースン/ハヤカワ文庫FT]

 「Mistborn trilogy」の第三部にあたる『Mistborn: The Hero of Ages』、今月から隔月で翻訳開始。

 物語の開幕は、「ミストスピリット」終了後1年経った頃。「即位の泉」にて解きはなたれた〈破壊〉神を再度封じ、そして世界をあるべき姿に戻すべく、ヴィンたちが奔走しているところから始まります。
 感想。もう文句なく面白かったです。今回は、今までの積み重ねがあるからこそ、最初からアクセル踏み込んでるというか。これまでの話で播かれていた諸々の事象の発展やどんでん返し、そして次第に謎が明かされていく過程に、「なるほど、そうくるのか!」とわくわくしました。
 登場人物に関しては、ヴィンもさることながら、エレンドも最初のころを思えばすごく逞しくなったなぁ……としみじみ。テン=スーンはこの調子だと次巻で合流かな。つーか、獣人の「ヒューマン」もあれなりに好意的?な感じだし、何気にヴィンって人間外にモテてるな……とかどうでもいいことを思ったり。まぁ、この3名に関してはそれなりにハラハラしつつもわりと安心してみていられるのですが、一方でどうにも危ういのがセイズドとスプーク。セイズドは第二部までの安定感はどこへ行った!?と言いたくなるほどで……何とか、残り2冊で乗り越えてくれるんだろうか。あと、スプークは……なんかもう、とりあえずやばそうとしか言いようがない……あとがきによれば成長フラグのはずなんですが、むしろ死ぼ……げふんげふん。えぇと、うん、きっと彼もこれから頑張ってくれる、はず。そうだといいなぁ……(何故か弱気)

 泣いても笑っても残り二冊。かつてないほど強大な敵と絶望的に厳しい状況を前に、ヴィンたちはどう立ち向かうのか。そして、世界を救い、生き延びることができるのか――11月予定の2巻がとても楽しみです。

作品名 : ミストクローク―霧の羽衣 (1)新たな救い手
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著者名 : ブランドン・サンダースン
出版社 : ハヤカワ文庫FT(早川書房)
ISBN  : 978-4-15-020521-8
発行日 : 2010/9/30

『レッド・アドミラル 潜入捜査は戦乱の幕開け』[栗原ちひろ/角川ビーンズ文庫]

 偶然の出会いからわけありの軍艦に配属されることになった軍人・ロディア(男装の麗人)とその仲間たちが活躍する、海軍出世物語第2巻。

 個人的には、話と全く関係のないところでテンションあがったよ!な第2巻でした。だって、敵国のアスファル帝国がどうみても中東方面っぽい設定で、出てくる人の名前出てくる人の名前もみんなちゃんとアラビア語とか、なにその私得すぎる設定……!
 こほん。少し落ち着いて、話の感想。ロディアの男前度が実に素晴らしかったです。敵国のハレムに潜入してもロディアさんはロディアさんだった。お姉様……いや、気持ちはわからんでもないけど(笑) あと、艦長のランセは正しく人たらしなので、なんというか、このコンビなんかある意味で最強じゃないか?と思ったりした。で、そんなロディアとランセが、今のところ恋愛よりも親愛が前面に出てて、「カップル」ではなくあくまで「コンビ」なのがまた良い良い。ストイックというのとはちょっと違うし、この先どうなっていくかもわからないんですけど、なんというか、うん、とりあえず戦友関係というのは良いものです。その他、レーン号の面々は1巻に輪をかけて輝いていたり、アスファルのこちらも(ある意味)個性的な皇子たちがまた面白そうだったり。キャラクター的にはおおむね文句なしで、楽しかったです。

 ストーリィ的にも1巻よりも戦争前の不穏な空気が強まっていたり、さらにその影では何かと不気味な旧神の存在があったり。全体的にはいろいろと動きつつもまだネタを仕込んでる段階です、という感じではありますが、それだけにこの先の展開が楽しみで仕方がありません。

作品名 : レッド・アドミラル 潜入捜査は戦乱の幕開け
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著者名 : 栗原ちひろ
出版社 : 角川ビーンズ文庫(角川書店)
ISBN  : 978-4-04-451415-0
発行日 : 2010/8/31

『白と黒のバイレ 鳴らせ、再幕のブレリア』[瑞山いつき/角川ビーンズ文庫]

 魔王にかけられた若返りの呪いを解く術を求めて旅立った姫君の物語、ボーナストラック的短編集。

 感想。「マルかわいいよマル」の一言で全てが言い尽くせたような気になってしまうのも、実に困ったものです。つーか本当になにこの天然ボケはいった魔王様、ちょっとかわいすぎると思うんですけど(←落ち着け)
 ……えーと、少し冷静に。今回は、本編補完的な短編と、それから子供世代の短編が収録。この子供世代編が実に良いものでした。とりあえずマルかわいいよマル(最初に戻る) 子供たちも、アスとティアのコンビがそれぞれに個性的で良かったです。親世代のそれとはまた少し違った主従関係も良し。そして、リリアナは子供のころも親になっても相変わらず素敵に最強だった感。というか、マルとのボケツッコミが楽しすぎ(結局それか)

 まぁ、なんだかんだで楽しかったです。子世代編、というかアスの恋の行方が気になるところではありますが、あえてここで終わっておくのがいいのかもなぁ、と思ったり思わなかったり。……しかし、それはそれとして、彼の「もう寂しくない」という言葉は、確かに現時点では救いではあるんだけど……やっぱり、問題の根本が解決してない気はするなぁ……

作品名 : 白と黒のバイレ 鳴らせ、再幕のブレリア
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著者名 : 瑞山いつき
出版社 : 角川ビーンズ文庫(角川書店)
ISBN  : 978-4-04-449720-0
発行日 : 2010/8/31

2010年上半期ライトノベルサイト杯。

通常運転に戻したい、と言った舌の根も乾かないうちに、夏バテ&夏風邪が悪化して(1週間で体重3kg近く減った……)更新ストップしている今日この頃。ううう、感想書きたいあれやこれやばかりが溜まっていく……。
そんな状態ですが、滑り込みで平和さん主催の『2010年上半期ライトノベルサイト杯』(外部投票ページ)に今回も参加。
悩んだ結果、新規5作品、既存5作品です。
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