『子守り魔王と姫騎士団長 ~神々の祝宴~』[夕鷺かのう/B’s-Log文庫]

 アステカ神話モチーフの異世界ファンタジー、第3巻にして最終巻。

 もう少し続くかなぁと思っていただけに、全3巻で終わったことに驚きました。まぁでも、メイン三人に各巻それぞれスポットは当たってるし、このぐらいの分量でコンパクトにまとまっているのも悪くないのかもしれない。
 作者様曰く「魔王のターン」となる今回は、ざっくりと展開をまとめてしまえば、神々の「太陽争い」に関連して、豹変したトラロックと終焉を間近にした世界を救うため、騎士団長として戦いに赴くクレアたち……みたいな。設定説明の関係か若干駆け足かなー、と思う部分もありましたが、1巻から比べると格段に成長したヒロインや、彼女周辺の登場人物たちや関係の変化は実に良かった。というか、正直このヒロインにここまで好意を持つようになるとは、1巻当初は夢にも思わなかったし。本来苦手なはずの逆ハー状況もなんとなく許せるのは、人徳なんだろうか……。その他の登場人物では、一番気に入っていた偽弟ことセシルがいろんな意味でとても美味しかったので、それだけで満足しました。この先も二人(?)仲良く、姉馬鹿・弟馬鹿してると良いと思います。
 あと、元ネタ神話的に世界の危機展開が来るのは確実だろうけど、どう始末を付けるのかなぁと思っていたのですが、ほどほどにシビアというか。わりと上手く処理されていたように思いました。そのあたりも流れもなかなか面白かったです。

 最後は、如何にも大団円という感じ。実に後味良く楽しめました。次回作も楽しみです。

作品名 : 子守り魔王と姫騎士団長 ~神々の祝宴~
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著者名 : 夕鷺かのう
出版社 : ビーズログ文庫(エンターブレイン)
ISBN  : 978-4-04-726878-4
発行日 : 2010/11/15

『クシエルの啓示(全3巻)』[ジャクリーン・ケアリー/ハヤカワ文庫FT]

 中世ヨーロッパ風異世界を舞台に諜報員として仕込まれた女性が様々な陰謀・思惑の狭間で活躍するファンタジー小説、「クシエル」シリーズ第3部。今回は、展開的に神話的なあれこれを意識することが多かったです。

 エピソードとしては「使徒」全エピソード終了から10年後。行方不明となった宿敵メリザンドの息子イムリール――テールダンシュ王位継承権を持つ子供の行方と、孤島に囚われたままの旧友・ヒアシンスを救うための情報を求め、フェードルとジョスランは再び旅立つことに……という導入。この第3部でフェードル編が終了することになるだけあって、これまでの集大成というか。全体的にそんな印象が強かったです。内容的にも2巻目はきつかったけれど、そこを乗り越えたらなんだかんだで大団円へ向かって動いていったし。まぁなにはともあれ、共に苦難を乗り越えたフェードルとジョスラン、そしてイムリの関係や、メリザンドとの決着(というかなんというか)、そしてヒアシンスの解放と……など、これまでシリーズを読んできた身としては感慨深いものがありました。……最後に、地味にイサンドル様が好きだ!と主張しておいてみる。(主張に深い意味は全くない)

 これでフェードル編の幕は降り、物語的にも区切りはついているのですが、本国ではまだシリーズは続いていて、第4部からはイムリールが主役になっているとのこと。今のところ以降の翻訳は未定のようですが、そのうち読めると良いなぁ。

作品名 : クシエルの啓示 (3)遙かなる道
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著者名 : ジャクリーン・ケアリー
出版社 : ハヤカワ文庫FT(早川書房)
ISBN  : 978-4-15-020522-5
発行日 : 2010/10/22

『身代わり伯爵の花嫁修業II 嵐を呼ぶ花嫁合宿』[清家未森/角川ビーンズ文庫]

 庶民派少女ミレーユと、周囲の個性的な面々が繰り広げる王道ラブコメファンタジー、第13巻。

 「花嫁修業編」第2巻となる今回は、未来の大公妃としての側近探しがメイン。あと、これまで引っ張ってきたキリル関係の決着、かな。
 側近探しに関しては、今後レギュラー化するであろう女性陣がどっと増えて一気に華やかになったなぁ、とほのぼのしたり。……類が友を呼ぶのか、集まった姫君たちが個性派ぞろいなのは、まぁ、ご愛敬ということで。つーか、前巻ラストで登場したシーカ様はそんなオチかと(笑)
 あともう一人、忘れちゃいけないキリルついては……うん、大体予想通りでした。しかし、フレッドはともかく、ロイまで絡んでたとはなぁ。ご愁傷様、としかいいようが。でも、それでもやっぱり君が好きなんだ!と食い下がらずに、身を引いてくれたので好感度アップしました。……いや、あの二人のらぶらぶを目の当たりにしては、割りこむ余地がないと悟るしかないとは思いますが(笑)
 真面目ところでは、ミレーユが自分の立場をちゃんと理解して、でも相変わらずの男前さを失わず前向きに頑張ってる姿が実に良いなぁ、と思います。まだいろいろと陰謀は燻っていそうだけど、仲間の力を借りつつこの調子で乗り切ってくれるに違いない。あ、リヒャルトとのいちゃいちゃは相変わらずの床ローリングでした。禁止令出されててこれとか何事だ。

 次巻ではルドヴィック絡みでなにかあるのかな。一体どんな騒動が起きるのか、楽しみです。

作品名 : 身代わり伯爵の花嫁修業II 嵐を呼ぶ花嫁合宿
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著者名 : 清家未森
出版社 : 角川ビーンズ文庫(角川書店)
ISBN  : 978-4-04-452413-5
発行日 : 2010/9/30

2010年11月の購入予定。

夏バテ以降、どうも更新テンションが落ちたままになってます(本自体は読んではいるんですが、読書メーターにチェック入れる気にもならないという)
ようやく過ごしやすい気候になってきたし、そろそろ復調させたいところ。それはさておき、毎月恒例購入ほぼ確定組の自分用備忘録です。
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