省エネモードで生存中。

今年に入ってもあいかわらず新コロ憎しの日々が続いていますが、如何お過ごしでしょうか。私は3度目の非常事態宣言で楽しみにしていた舞台が残念ながらいくつも中止となったことにショックを受けているうちに、5月6月が終わってしまったような……これで宝塚月組まで幕が上がらなかったら精神状態やばいことになってただろうなあ、と思ったり思わなかったり。
とはいえ、世の中ワクチン接種も徐々に進みだしてるし、もうしばらく辛抱したら状況好転すると信じて、2021年後半に突入する来月からはぼちぼち頭を切り替えていきたいところです。

『ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人4』[小湊悠貴/集英社オレンジ文庫]

読書記録

横浜の小さなホテルを舞台に、パン職人(ブーランジェール)・紗良と周りのスタッフや来訪者たちが織りなす物語、順調に巻を重ねて4冊目。

今回収録されていた4編のゲストは紗良の兄、コンシェルジュ・要の義妹、要の母にしてオーナー・綾乃の姉、シェフ・天宮の兄と、狙ってだろうけれど、ホテルの中心人物たちの兄弟姉妹。各話で起きる(あるいは語られる)それぞれの関係性に、身内だからこそのいろいろもあるよねえ……と思わされつつ、素敵なおもてなしのホテルと美味しい料理とパンに気づいたら心が解されているというか。最後は前向きに幕を閉じるあたたかい物語に、こちらも元気を分けてもらった気分。……それにしても紗良のお兄さん、登場時は嫌味なキャラかと思いきや……素敵なパートナーと出会ってほしい。

さて、紗良が要を意識しはじめていることは明確になったけれど、要のほうは1巻で明らかになってるややこしい出自の関係かそれとも以前の彼女の関係か、ともあれなにか思うところがありそうで。今後、この二人の関係がどうなっていくのかも気になるところ。

作品名 : ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人4
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著者名 : 小湊悠貴
出版社 : 集英社オレンジ文庫(集英社)
ISBN  : 978-4-08-680375-5
発行日 : 2021/4/25

『やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中 3』[永瀬さらさ/角川ビーンズ文庫]

読書記録

命を落とす間際、6年前に逆行した(記憶はそのまま)令嬢ジル。2度目の人生で破滅を回避し、婚約者となったかつての敵国の皇帝とともに幸せを掴もうと奮闘する最強令嬢の物語、第3巻。

今回は、2巻の事件が関連して発生した内乱(未遂)に、卵から孵った竜の王(=ハディスの心)の養育やらハディスの兄弟姉妹たちとの関係やらが絡んだ内容に。
ジルがかっこいいのはいつもどおりとして、今回は旦那様も頑張ってました。というか、1度目はこの時点でかなり精神的に摩耗していたんだろうハディスが、ジルの影響を受けて、良い皇帝になろう、良い国を作ろうと自分の意志で考えるようになっているのに、成長を感じます。そういう彼の変化が、ラーデアの人々やサウス将軍とその部下たちにもちゃんと伝わったこと結果、良い方向に進んだことがまた嬉しい。……とはいえ、あそこで持ち出す方便がパン屋修行なあたりは脱力してしまいますね。らしいといえばそうなんだけど。
新しく登場した兄弟姉妹の関係では、未来を知るジルにとっては最大級の警戒対象になるヴィッセルのだんだん明らかになる拗らせ具合には、まあかつての真意はそういうことだったんだろうと予想していたとはいえそうならざるを得なかった彼の心情に思いを馳せてしまいましたね……。あと、ナターリエとフリーダをクッキーで餌付けしようと試みるハディスに笑った。人見知りのフリーダとのエピローグでのやり取りにまた大笑い。

ともあれ、これでラーヴェ帝国内部のゴタゴタはある程度片付いたのかな、という印象。第一部完、みたいな。まあ、年の近い兄弟姉妹たちがある程度関係改善しただけだから、まだ三公やらもしかしたら前皇帝やらが引っ掻き回す可能性はありますが。それと、忘れちゃいけない女神とクレイトス王国とのいざこざ。今回は、クレイトス現国王のルーファス(通称・南国王)が登場したわけですが、また例によって思わせぶりな発言を……。ジルが神器を手にしたときに流れた幻影といい、ラーヴェが「忘れて」女神が「覚えて」いる神話時代の出来事がどんなものなのか気になるところ。……しかし、今更言っても仕方ないけど、かつてのジェラルドがジルに少しでもこのあたりの因縁を話していたら(話せていたら?)、1度目も別の展開があったのかもなあ。

作品名 : やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中 3
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著者名 : 永瀬さらさ
出版社 : 角川ビーンズ文庫(KADOKAWA)
ISBN  : 978-4-04111135-2
発行日 : 2021/2/27

宝塚雪組「f f f-フォルティッシッシモ-/シルクロード~盗賊と宝石~」を観てきた話。

数ヶ月遅れで開演となった、現雪組トップコンビ退団公演。運良くチケットがA・Bパターン両方でご用意されたので、感染予防に気を配りつつ観劇してきました。しかし、ずっと思ってるけど、今回は本当に久しぶりに心の底から、「なんでもいいから、とっととCOVID-19制圧されろ!!!」と思わずにはいられませんでしたね……(個人的には当初遠征予定だった友人が断念することになったこともだし、なにより、席数減とか諸々が……退団公演なのに、とどうしても思ってしまうというか)
以下、いつものようにあまり難しいことは考えてない感想です。
“宝塚雪組「f f f-フォルティッシッシモ-/シルクロード~盗賊と宝石~」を観てきた話。” の続きを読む

『やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中 1~2』[永瀬さらさ/角川ビーンズ文庫]

読書記録

婚約者である王太子のある「秘密」を知ってしまったがために、捕らえられ処刑を言い渡された令嬢・ジル。脱獄を試みるも追い詰められ、神器で心臓を貫かれようとした、その間際。何が起こったのか、6年前、王太子との婚約が決まったパーティーに時間が戻っていた。王太子との婚約=将来の破滅を避けようととっさにジルが求婚した相手は、未来で最大の敵だったラーヴェ帝国皇帝・ハディスだった――と、そんな導入で始まる物語。ちなみに、「小説家になろう」で連載中。(現在、第3部途中)

並外れた魔力を持ち、1度目の人生では「軍神令嬢」と畏怖されていたヒロインのジルが物理的にも精神的にも強くて素敵でした。彼女の「旦那様」ハディスは逆に心身ともにアンバランスなものの、締めるところはきっちり締める感じ。そんな彼らが、次第に利害だけでなく、相手個人に興味を持ち絆されていく過程にニコニコできてとても楽しい。
あと、ジルの精神が16歳のままなので忘れそうになるんですが、肉体的には現代の感覚だけでなく作中世界の感覚でもアウトな組み合わせ(ジルの肉体年齢10歳に対し、ハディス19歳)になっているので、そこから生じる周囲の誤解(?)がまた楽し。
そういうらぶこめ要素だけではなく、徐々に明らかになってくる作中世界の事情が、これもまた面白い。「呪われた皇帝」ハディスが妻とする女性に求めていた絶対条件と、未来で憎悪に呑まれていた理由。ジルの時間が戻った理由。もしかしたら、そもそも彼女が1度命を落とすきっかけとなった「秘密の関係」にも関係しているのかもしれない神話の時代から続く竜神と女神の因縁に、ジルとハディス、そして1度目とは少し違う関係を結んでいる周囲の人々がどう立ち向かっていくのか、今後の展開が気になるところ。

余談ながら。ジルの人生やり直し前にハディス側で起きていたことの一部がWEBに掲載されているのですが、それがふつうにしんどくて、そりゃハディスも闇落ちしたくなるわ、という……。2度目では不幸フラグを片っ端から粉砕してくれているジルの頼もしさ・ありがたさがよく分かりましたとも、ええ。

作品名 : やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中
    【 amazon , BOOKWALKER , honto
著者名 : 永瀬さらさ
出版社 : 角川ビーンズ文庫(KADOKAWA)
ISBN  : 978-4-04-108963-7
発行日 : 2020/3/1