『モンスターズ・イン・パラダイス 1』[縞田理理/新書館ウィングス文庫]

人間と「神話的人類」が共存する、「融和宣言都市」ブルームフィールド。憧れの犯罪捜査局に入局したジョエル(人間)のパートナーとなったのは、カート・V・ウェステンラ(ヴァムピール)。 神話的人類に苦手意識を持つジョエルだが人事に文句を言えるはずもなく、一癖ある性格のカートとともに様々な事件の捜査に乗り出すことに。

 縞田理理さんの新シリーズは、1920年代アメリカ風異世界を舞台に、人間と「神話的人類」(人外種族)たちの繰り広げる物語。

 1巻目ということもあってか、全体的には設定説明や人物紹介といった雰囲気がやや色濃かったような感じ。
 なんとなく「ラノン」と似ているような気がしなくもないところもありますが、あちらに比べると神話的人類の存在がオープンになっている分差別や軋轢といった問題も生じてくるわけで。それらの問題と向き合いながら、ジョエルがどのように成長していき、カートとどのように信頼関係を築いていくのか。そして、この巻だけでも思わせぶりに仄めかされているエルモーライという人物の謎など、この先の展開がなかなか楽しみです。

 ところで、ヒロインはミリシャだという理解でよろしいのでしょうか。ああ、カートが実は男装の麗人というオチでも面白いかもしれない(←いや、それはきっと夢見すぎだから)

作品名 : モンスターズ・イン・パラダイス 1
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著者名 : 縞田理理
出版社 : 新書館ウィングス文庫(新書館)
ISBN  : 978-4-403-54109-4
発行日 : 2006/9/1

『トキオカシ』[萩原麻里/富士見ミステリー文庫]

異常なまでの瞬間記憶能力を持ちながら、それを取り立てて利用する事もなく平凡に過ごしてきた高校生、藤沢誠一。しかし、転校生の観池眞名との出会いにより、彼の運命は動き出す。「時置師」という神の血をひく一族。常に十人の女性によって受け継がれるその血筋で、異端の11人目として生まれた眞名と、その「対」であるという誠一。二人が対面したその時、鈴の音と共に世界が反転し……

 これまでティーンズハートやホワイトハートや児童文学方面で何作か作品を発表されている作者氏の新作。これまでの作品も割と好きだったし、あらすじ読んで面白そうだったので、購入してみました。

 感想としては、シリーズ第1作目としては無難なつくりというか、普通に面白かったというところ。富士ミスらしく、Loveたっぷりのなかにミステリもちょっぴり織り交ぜられてましたしね(笑)
 しかし、誠一と眞名が「飛ばされた」先で遭遇した事件の結末はなんとも後味が悪かったです。ああいう結末になるのは既に定められていたことなのだとしても、犯された罪そのものは許されるものではないとしても。それでも、誰もが当たり前のように享受しているものを奪われ続けてきた子が抱いた願いが悲しい。作中でも言われているように、その状況を作り上げた周囲にも問題はあったわけですし、ねぇ……。

 今回の件を経て絆が強くなった誠一と眞名ですが、次はどんな状況に陥るのか。眞名の双子の妹である眞依と、彼女の「対」である智里はどのように絡んでくるのか。あとがきで予告されている年の差カップルの登場も含めて、続きが楽しみですね。

作品名 : トキオカシ
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著者名 : 萩原麻里
出版社 : 富士見ミステリー文庫(富士見書房)
ISBN  : 978-4-8291-6369-6
発行日 : 2006/9

雑記データ移行完了。

事前に準備していたデータの吸い出しが上手くいかずに手作業となってしまったため激しく面倒でしたが、やっと終わりました。やれやれ。
あとは各種質問への回答をUPすればデータ移行は完了。ま、出来るだけ早く片付けるか。

Firefoxをインストールしてみた。

前々から動作確認用にインストールしてみようかなとは思っていたもののなんとなく面倒で放置していたのですが、ふとその気になったので導入。
で、プラグインもいくつか追加して動かしてみたのですが。使い心地は慣れてないせいもあるでしょうが特別良くもなく悪くもなくというところ。editcssはcssで意図せぬ表示になってる箇所をさくっと確認・修正できるのでかなり便利だと思いましたが。
まぁ、現在メインで使ってるOpera(ちなみに、こちらも最近9.01にバージョンアップした)に不満があるわけでもないし乗換えまでは(少なくとも当分は)するつもりはありませんけど、今後も適当に使っていくかなー。

『七姫物語 第四章 夏草話』[高野和/電撃文庫]

 先王の隠し子という巫女姫を擁する七都市が並び立つ地、東和。七番目の姫として擁立された少女・空澄(カラスミ)を中心に移りゆく時間や世界を描いた物語、第4巻。

 あとがきで作者氏自身も語られていますが、今回の話は3巻でやや持ち上がった視点はそのままに、それでも少し空澄の視点に沿ったところから語られていた印象。それにともない、前巻で少し物足りないなーと感じていた、空澄が自然体で世界に触れていく姿が戻ってきていたのがなんとなく嬉しかったです。
 内容としてはあいかわらずの超安定株というところで、独特の穏やかな雰囲気には1巻のころから変わらぬ心地よさを感じます。その一方で、東和の地を巡る情勢はけして楽観できるものでもなく。緩やかに確実に移ろい行く彼の地の先行きには、嫌がおうにも興味をそそられます。

 様々な立場の人間の思惑が交錯する中、空澄と二人の共犯者たちが進む道。その行き着く先は何処なのか――続きが語られる日を、のんびり待ちたいと思います。

作品名 : 七姫物語 第四章 夏草話
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著者名 : 高野和
出版社 : 電撃文庫(メディアワークス)
ISBN  : 978-4-8402-3561-7
発行日 : 2006/9