5巻に引き続き会津への道中編(41話~49話)と、いよいよ会津到着となる50話までを収録した第6巻。
この巻で第8のヒロイン、というか後半戦MVPと言ってもいい気がするおとねが登場。最初はどこにでもいそうな普通の娘さんと言う風情だったのに、明成に嬲られ虚ろな姿になっていくのが痛々しくてもう……。この行いだけで万死に値するわこの馬鹿殿め。
他、沢庵の地味な精神攻撃やら十兵衛を巡る微妙な女心やらいろいろ楽しい部分もありますが、一番読者の度肝を抜くのはやはり廉助の「女人袈裟」ではなかろーかと。初めて原作読んだ時は、「こんなの思いつく時点でこいつ馬鹿だ。馬鹿に違いない」と思ったものですが、改めてビジュアルで見るとやっぱり馬鹿ですな(酷) しかし、これが十兵衛たちに下手な手出しをさせない手段であることには間違いなく。手をこまねく十兵衛に対し、救いの手となったのは意外にも武芸の「ぶ」の字も知らない御坊2人。ここでの御坊たちの決死の行動と一人残った薬師坊、その変わらず柔和な表情にえもいわれぬ迫力を感じます。
で、50話ラストでいよいよ御国御前(側室)のおゆら登場。なんか想像していたよりも(目つきやらにそこはかとなく妖艶さが漂ってるけど)可愛らしい系だなーと思う一方、中身はきっと変わってないだろうからその容貌と行動とのギャップが際立ってくるかもとも思った。
作品名 : Y十M -柳生忍法帖- 6 【bk1 ・ amazon】
著者名 : 山田風太郎(原作)・せがわまさき
出版社 : 講談社(ヤングマガジンKCスペシャル)
ISBN : 978-4-06-361526-5
発行年月 : 2007.2