『バッカーノ!2002【B Side】 Blood Sabbath』[成田良悟/電撃文庫]【amazon ・ boople ・ bk1】
『輪環の魔導師 闇語りのアルカイン』[渡瀬草一郎/電撃文庫]【amazon ・ boople ・ bk1】
『虚空の旅人』[上橋菜穂子/偕成社ポッシュ軽装版]【amazon ・ boople ・ bk1】
『アレクシオン・サーガ 〈橋の都市〉にて』[五代ゆう/HJ文庫]
異貌と聡明さゆえに故郷を旅立った青年と、彼の伴侶と名乗る魔術師の少女。彼らの旅路とその前に待ち受ける運命を描く正統派ファンタジー第2巻。
今回は、旅の途中で立ち寄った都市で陰謀劇に巻き込まれながらも、迫る悲劇を回避するために奮闘する、というのが大雑把な内容。1巻同様清々しいほど王道な展開ですが、設定と物語の歯車が噛み合ってきたのか全体的に1巻よりも面白く感じられました。今回の話に深く関わってきた少年フォルティスや現世に残っていた古の民・老シレノスなど、脇を固める面々も良かったし。また、アレクが知らず背負っている宿命やヘロディアの縁、遠い過去から続く因縁など、物語の根幹に関わると思しき事柄も断片的に語られていて、それもまた興味深かったです。
素直に物語を楽しんだ後に目を通したあとがきに、ある意味ものすごく不安を誘うことが書いてありましたが、まぁなんだかんだでこの人ならきっと大丈夫だと適当に楽観しつつ。「起」の部分が終わるという次巻を楽しみに待ちたいと思います。
『スプライトシュピーゲル III いかづちの日と自由の朝』[冲方丁/富士見ファンタジア文庫]
テロの脅威に晒されている都市・ミリオポリスの公安局要撃小隊(MSS)に所属する3人の少女たちの物語、第3巻。
今巻の内容は、「オイレン」3巻でさらりと、しかし衝撃的な結末とともに語られた事件の始まりから終わりまでを描いたもの。『24』のような形式で進む始終緊迫感のある物語展開や、事件を追う中で伝わってくる登場人物たちの意志や絆の強さに惹きつけられ、最後まで目が離せない感じでした。また、「スプライト」は「オイレン」と比べて個人よりも組織に焦点が当てられているため、舞台となっているミリオポリスを取り巻く様々な思惑や状況がより鮮明に見えてくるのがまた面白く感じられますね。
あと今回は前線部隊だけでなく、後方支援担当の水無月といつの間にか彼女らと深く関わるようになった冬真(一応まだ民間人)の共同行動も見物でした。そんな彼らの前に姿を現した内通者とのやりとりは……嗚呼。
まさかここであの人がああなるとは思ってませんでしたが、あちらこちらにばら撒かれた災厄の種子が既に芽吹きはじめているのは確実なわけで。「オイレン」組とのさらに密接なリンクがあるらしい次巻では、いったいどんな展開が待っているのか。続きが楽しみです。
『オイレンシュピーゲル参 Blue Murder』[冲方丁/角川スニーカー文庫]
テロの脅威に晒されている都市・ミリオポリスの治安維持部隊MPB遊撃小隊に所属する3人の少女たちの物語、第3巻。
てっきり角川の公式サイトで使われている内容で一冊使ってると思っていたのですが、実際は1巻と同じく短編集形式でした。収録作の内容としては、プリンチップ社もあまり本腰を入れていない比較的小さな事件(この場合の比較対象は2巻なので、大抵の事件が小さくなるという話もある)を扱うことで、3人の少女それぞれを掘り下げていく方向なのかなーと思いきや。そこから一歩踏み込み特甲児童という存在そのものに焦点を当ててきたのが意外といえば意外でした。
そして、表面上は直接的な関係がないと思えた事件が、最終話であの場所に、あの2人に収束していくあたり、なんだか胸が痛くなりました。もちろん、彼が怪しいのは最初から分かってたけど……最後の呟きがまた切ない……。
「スプライト」組とのリンクは今回は控えめでしたが、4巻ではもしかしたら共同戦線を張ることになったりするのかな。今回発覚した事実あるいは推論はどのように絡んでくるのか。決定的に敵として相対することになるのだろう彼との再会はあるのか。4巻が普通に楽しみです。
アニメ版「バッカーノ!」最終話。
原作を巧く使った良いアニメで、毎週楽しませてもらいました。最後のシメにあのシーンを持ってきたスタッフに乾杯。
しかし、個人的に大好きな「1932」パートが改変された影響でいまひとつだったのが残念だなぁ。
麻薬関連全部切ってるから、仕方がないといえば仕方がないんだけど……。
つーかこれじゃあラックとイブのフラグ立てが成功してないじゃないかー(←フラグ立て言うな)