山田風太郎の明治物の舞台化ということで興味を持って、名古屋まで行ってきました。以下、演劇とか詳しくない人間の適当感想。
今回の劇は、山本権兵衛と登喜の結婚時の話からはじまり、井上馨夫人、伊藤博文夫人、森有礼夫人、そしてオリジナルで伊藤博文令嬢の話が、やがて鹿鳴館の舞踏会へ収束していく、という流れ(個人的にはル・ジャンドル夫人のエピソードが使われなかったのは残念だったかな。あのシーンを上手い役者さんがやってくれたら、きっと号泣したと思うのに)
原作も風太郎作品にしてはクセが強くなく読みやすい話だと思うのですが、そこから風太郎独特の皮肉な視点を取り除いた結果、さらにマイルドで口当たりの良い劇に仕上がってるなーというのが素直な感想。アレンジとしてはけっして悪くはなかったです。
改変部分については、事前にあらすじ読んだときには登喜が主人公っぽい?という感じだったのでこれはもしかして内容も大幅に変えてくるんじゃないかと思っていたのですが、それについては原作の権兵衛&捨松の役割を主に彼女に振ったというぐらいだったし、その他もこの程度ならありかなーと思えるぐらいの改変だったので、まぁ不満な部分もあるにはあるけど声高に言うほどの文句はなし。
芸能人に詳しくない私でも名前を知ってるような役者さんが多数出演されていて、その流石の演技には素直に感歎。ベテランの人の貫禄ある演技もさることながら、若手の人の好演もその初々しさと共に印象に残りました。
ともあれ、最後まで飽きることなく楽しめる、なかなか面白い劇でした。原作ファンとしても普通に楽しめたし満足。奮発して良い席(前列花道近く)取った甲斐もありました。