『エドの舞踏会』観劇。

山田風太郎の明治物の舞台化ということで興味を持って、名古屋まで行ってきました。以下、演劇とか詳しくない人間の適当感想。

今回の劇は、山本権兵衛と登喜の結婚時の話からはじまり、井上馨夫人、伊藤博文夫人、森有礼夫人、そしてオリジナルで伊藤博文令嬢の話が、やがて鹿鳴館の舞踏会へ収束していく、という流れ(個人的にはル・ジャンドル夫人のエピソードが使われなかったのは残念だったかな。あのシーンを上手い役者さんがやってくれたら、きっと号泣したと思うのに)
原作も風太郎作品にしてはクセが強くなく読みやすい話だと思うのですが、そこから風太郎独特の皮肉な視点を取り除いた結果、さらにマイルドで口当たりの良い劇に仕上がってるなーというのが素直な感想。アレンジとしてはけっして悪くはなかったです。
改変部分については、事前にあらすじ読んだときには登喜が主人公っぽい?という感じだったのでこれはもしかして内容も大幅に変えてくるんじゃないかと思っていたのですが、それについては原作の権兵衛&捨松の役割を主に彼女に振ったというぐらいだったし、その他もこの程度ならありかなーと思えるぐらいの改変だったので、まぁ不満な部分もあるにはあるけど声高に言うほどの文句はなし。
芸能人に詳しくない私でも名前を知ってるような役者さんが多数出演されていて、その流石の演技には素直に感歎。ベテランの人の貫禄ある演技もさることながら、若手の人の好演もその初々しさと共に印象に残りました。

ともあれ、最後まで飽きることなく楽しめる、なかなか面白い劇でした。原作ファンとしても普通に楽しめたし満足。奮発して良い席(前列花道近く)取った甲斐もありました。

『死が二人を分かつまで 3』[前田栄/新書館ウィングス文庫]

 強大な力を持つ吸血鬼と彼によって吸血鬼とされた青年の永遠の相克と、彼らに少なからず関わることになった人々の物語、第3巻。

 とりあえず読了後の正直な感想は、「ミカエラが最強すぎる……!」でした。いや、実際の戦力はゼロに等しい彼女ですが、精神的にはもうほとんど無敵というか。エリオットに対しても、動物的な本能から恐怖は覚えていてもあとからああいう評価になったり、なんというか超現実的。そんな彼女が大好きで、何かと尽くしている&格好いいところも見せているはずなのに相手にしてもらえないウォルフの姿はなんとも哀れで笑い……じゃなくて涙を誘います(微妙に空々しい口調)
 それ以外では、まさかのロジーヌ(コミック版で登場した女性)登場に吃驚。しかも、こういう形で使ってくるとは……。彼女の境遇やカールへの想いの深さは哀れを誘いますが、同時に恋に狂った人間の恐ろしさも見せつけてくれます。

 さて、少々意外な流れになりつつあるエリオットとカールの永遠に続くかと思われた戦い。果たして彼らの戦いの結末はどうなるのか等、数々の謎を抱えて物語は終幕へと向かいます。……それにしても、個人的にはミカエラが懸案事項全部片付けたとしても、もう全然意外に思わないかもというこの心境は笑っていいものだろうか……。

作品名 : 死が二人を分かつまで 3
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著者名 : 前田栄
出版社 : 新書館ウィングス文庫(新書館)
ISBN  : 978-4-403-54122-3
発行日 : 2007/12/10

12月2週目の購入メモ。

『黒耀姫君 -はじまりのゆき-』[萩原麻里/B’s-Log文庫]【amazonbooplebk1
『王慧の鍵 -森の姫とイソヴェリ-』[たけうちりうと/B’s-Log文庫]【amazonbooplebk1
『中国とインドの諸情報 2 第二の書』[家島彦一(訳注)/東洋文庫]【amazonbooplebk1
『私説三国志 天の華・地の風 五』[江森備/ブッキング]【amazonbooplebk1

『プリンセスハーツ ~両手の花には棘がある、の巻~』[高殿円/小学館ルルル文庫]

 大国パルメニアを征服するという目的のため手を組んだ仮面夫婦と主従の不思議な関係と戦いを描くシリーズ第2巻。今回は愛妾候補としてやってきた伯爵令嬢によって引きこされる騒動とその影で蠢く陰謀の話。

 ……この巻読んで真剣に不思議に思ったのは、一体ルシードはどうやって内乱に勝てたんだろう、ということでした(酷) いや、戦場では有能という風な描写はされていましたが、それにしたって普段が甲斐性なさすぎというかヘタレというかなんというか……。
 それはさておき、内容の感想。とりあえず、互いに相手を意識してるのに(それぞれ互いに想い人がいると思っていることも手伝ってか)自分の気持ちに気がついていないルシードとジルの関係は、お約束だなぁと思いつつニヤニヤ。そして、互いに嫉妬しあってらしくない行動をとり、ジルにいたっては普段明晰な思考にも影響が出てしまった結果、思わぬ危機に陥ってしまう――と、ラブコメ状態からシリアスに繋げていくあたり、やっぱり上手いなーと思いました。ただ、個人的な好みとして、シリアス要素とコメディというかギャグ要素のバランスがいまいちだったような気がしなくもない。

 さて、かなり気になる場面で以下続くとなってしまいましたが、次の巻でこの「愛妾事件」がどんな展開と結末を見せてくれるのか。あれこれ予想しながら、春予定の新刊を待つことにします。

作品名 : プリンセスハーツ ~両手の花には棘がある、の巻~
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著者名 : 高殿円
出版社 : 小学館ルルル文庫(小学館)
ISBN  : 978-4-09-452036-1
発行日 : 2007/12