『ニューヨークの魔法使い (株)魔法製作所』[シャンナ・スウェンドソン/創元推理文庫]

 評判がいいので手を出してみた翻訳モノ。ニューヨークを舞台にしたエブリディ・マジック。寡聞にして知りませんでしたが、あとがきによれば若い女性の自分探しを描く「チックリット」というジャンルでもあるそうです。

 感想。評判がいいのも納得の面白さでした。翻訳モノは訳文で引っかかる確率が高かったりするんですが、これはそんなこともなく。内容的にも多少シリアスっぽい部分があるにしろ、コミカルな部分も多いので肩の力を抜いて気楽に読めましたしねー。
 個人的には、現代社会と完全に別世界ではなく、一般社会からは一応姿を隠しているもののそれなりに順応・共存している魔法世界の描写が面白いなぁと思いました。ヒロインのケイティがヘッドハントされて入社した会社MSIの内部事情とか、「あー確かにそういう設定ならそんなこともありえそう」と思う程度にリアリティが感じられて良かったし、空想上の生物たちや魔法的な要素が一般社会に当たり前のように混ざって生活、あるいは存在している様子もなかなか楽しかったです。
 あと、ケイティがちゃんと行動するタイプなのもポイント高かったかな。おかげで、いろんな要素が重なってるにしろかなりのスピードで昇進しても、まぁ納得できるというか。彼女だけでなく、ケイティのルームメイトたちや相手役候補、会社の同僚や上司といった面々もそれぞれの個性があって魅力的でした。

 さて、この巻の最後で元社員にして現在は敵対している魔法使いイドリスとの直接対決には無事勝利したけれど、これで相手が引き下がるはずはないでしょうし。MSI社の今後、それにケイティの恋の行方も気になるので、2巻以降も購入決定。

作品名 : ニューヨークの魔法使い (株)魔法製作所
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著者名 : シャンナ・スウェンドソン
出版社 : 創元推理文庫(東京創元社)
ISBN  : 978-4-488-50302-4
発行日 : 2006/7/11

3月3週目の購入メモ。

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『おせっかいなゴッドマザー (株)魔法製作所』[シャンナ・スウェンドソン/創元推理文庫]【amazonbooplebk1
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『銃姫9 ~It is not to be “now”~』[高殿円/MF文庫J]【amazonbooplebk1

復刊中だった天華、今月発売の10巻が最終巻。……読了後、しばらく凹んでるかもしれませんが気にしないでください。

『酒仙』[南條竹則/新潮文庫]

富豪の御曹司ながら、酒好きが高じて身代を食いつぶした暮葉左近。明日にはいよいよ無一文、これで酒を呑むこともできなくなる……と世を儚んだ彼は、これで最後とばかりに酒風呂に浸かりながらの自殺を試みる。そこをたまたま通りかかった仙人に命を救われ、さらには自分が千年に一度現れる「酒星のしるし」を身に帯びていると知らされる。これを持つものは、いずれその使命を果たすまで、酔って酔って酔いまくらなければならない。徳利真人として蘇った左近は、酒飲み修行に明けくれる日々を送ることになるが、やがて彼の前に邪悪な「魔酒」を醸す三島業造が現れて……。

 第5回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。『カッパドキア・ワイン』読んだらなんとなく再読したくなったので引っ張り出してきた。ちなみにこの回の大賞は佐藤哲也『イラハイ』、最終候補作は小野不由美『東亰異聞』と恩田陸『球形の季節』。……つくづく、どんなレベルだ。

 内容を端的に表現するならば、主人公をはじめとする登場人物たちが呑んで呑んで呑んで呑んで呑んで呑んで呑みまくる話。いや勿論呑んでばかりというわけでもなく、合間にメインのストーリィも進んでいくのですが(←合間かい)、とりあえず呑んでる(しかも美味しそうな肴付)という印象が強いので(笑) 話の内容と雰囲気が、読んでるこっちもほろ酔い気分になってしまうようなものであることも手伝って、世界の命運(!?)を掛けた勝負ですらそんなに深刻にならずに楽しめてしまいます(つーか、勝負の方法そのものが風流という話もある)
 そんなわけで気楽に楽しめる話である一方、古今東西の「酒」に絡んだものやそうでないもの、様々なエピソードや小ネタが織りまぜられていて、裏表紙に書かれているとおり「教養小説」としてもなるほどと納得してしまう出来。まぁでも、あまり難しく考えずに酒のつまみの蘊蓄話としてさらりと読めてしまうのがこの作品の稀有なところだよなーと思ったり。

 ……どうでもいいけど、改めてこの作者氏の「小説」を眺めてみると、だいたい呑んでるか食べてるかの話のような気がしてくる……。

作品名 : 酒仙
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著者名 : 南條竹則
出版社 : 新潮文庫(新潮社)
ISBN  : 978-4-10-141621-2
発行日 : 1996/9

『モンスターズ・イン・パラダイス 3』[縞田理理/新書館ウィングス文庫]

 1920年代アメリカ風異世界を舞台に人間と「神話的人類」(人外種族)たちの繰り広げる物語、第3巻&完結。

 感想。全体的に、ちょっと駆け足気味だったような。とにかくがーっと話が進んでいってしまい、感動的なはずの場面でも余韻が残らないのはもったいないなぁと。あと、話の本筋というかキャラクターの扱いというか、そのあたりがなんというか、どっちつかずな印象で。結局、どこに比重が置きたいんだろうかと疑問に思ってしまいました。

 正直に言うと、個人的には今一つ好みにあわなかったシリーズなのですが、それでも諸々の問題に一応の決着もついたし書き下ろしで描かれたその後は皆それなりに楽しそうに過ごしているようだし、なんか結果オーライな心境になったというか、まぁこれはこれで良いかーと(適当) あと、微妙にぼーいずらぶな雰囲気が濃かったような気がしなくもないけど、健全な恋愛成分もジョエルとミリシャの微妙な関係で補充できたのでまぁ良しということで(やっぱり適当)

作品名 : モンスターズ・イン・パラダイス 3
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著者名 : 縞田理理
出版社 : 新書館ウィングス文庫(新書館)
ISBN  : 978-4-403-54125-4
発行日 : 2008/3/10

3月2週目の購入メモ。

『蠱猫〈人工憑霊蠱猫 01〉』[化野燐/講談社文庫]【amazonbooplebk1
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『ひなのころ』は先月買い忘れてたので確保。『ニューヨークの魔法使い』は評判良いし読んでみようかなぁと、とりあえず1巻をぽちってみた。