『北宋風雲伝 16』[滝口琳々/プリンセスコミックス]

三侠五義をベースにした少女マンガの16巻目&完結巻。

主役カップルもようやく邪魔がなくなってくっついたし、その他も収まるところに収まったし、まぁ一言で言って大団円な終わり方だったなーと。どうなるのか気になっていた玉堂の扱いですが、さすがに原作通りにはできなかったかー。まぁ、ほぼ確実に助かるだろうとは予想ついてたけど……それ以外でもあまり意外性をついた展開はなく、カバー折り返しにも描かれているとおり終盤は結構駆け足になったりもしているので、ちょっと物足りなさもあったかも。しかし、あれ以上引っ張られても正直……だったろうし、そのあたりのさじ加減は難しいところですねー。

えーと、シリーズ全体としては、途中(主に主役カップルの恋愛がらみで)辟易するようなことも多々ありまくりましたが、題材に対する興味もあったし今どき珍しいぐらいストレートな話はなんだかんだで楽しめたので、それなりには満足でした。作者のお二方、長い間お疲れ様でした。

作品名 : 北宋風雲伝 16 【amazonbooplebk1
著者名 : 滝口琳々
出版社 : 秋田書店(プリンセスコミックス)
ISBN : 978-4-253-19394-8
発行年月 : 2008.6

ぐーたら。

ここしばらく、なんとなく自堕落な気分が続いてます。勉強も滞り気味。
今日なんか、久しぶりの休日だしあれもやろうこれもやろうと昨日のうちにはいろいろ考えていたのに、今朝起きたらなんとなく面倒になって特になにをするでもなくぼーっと過ごしてしまったし。無駄な時間の使い方をしたなぁとちょっと反省。
自分ではなんだかんだで積みあがる一方の精神的疲労の反動かなーとは思ってるけど、それが免罪符になるわけでもなし。明日からもうちょっと前向きにやっていこう。

『マーベラス・ツインズ契1 だましあい』[古龍/GAMECITY文庫]

 いきなりシリーズタイトルが変わった『絶代雙驕』邦訳第4巻。3巻が過去編となっていたので、今回は2巻からの続き。鉄心蘭の捨て身の行動で何とか花無缺から逃れた小魚児。江湖で潜伏していた彼が、江別鶴の陰謀を知り……という展開。原書の53章中盤までを消化。

 今回収録部分の最初のうちは、鼻っ柱をたたき折られて失意の小魚児の流浪編ということになるのでしょうか。打ちひしがれて一見自暴自棄になっているように見える一方、自分が未熟者だと自覚し武芸の腕も磨くなどしっかり努力を重ねている様子が好印象。この流浪の間の経験や、様々な苦悩、さらに自己研鑽の甲斐もあって、主人公としての魅力は一段も二段も増した感がありますね。
 その後、とある出来事をきっかけに小魚児は再び江湖に舞い戻ることになるのですが、そこから始まる小魚児と江別鶴の知略戦がまた見物で。このあたりで展開される陰謀劇では、なにをおいても江別鶴の悪辣さ・外道さが印象に残ります。小魚児もあの手この手で彼の化けの皮をはぎ取ろうとするものの、経験の差か追い詰めきれずに逆に危機に陥ってしまったり。そんなただでさえ手に汗握る展開に加えて、1巻で登場したあとその後が知れなかった小仙女や慕容九妹、黒蜘蛛といった面々やら初登場となる十大悪人やらも話に絡んできて、あっという間に状況がころころ移り変わっていくためにますます目が離せなくなってしまいます。おまけに、鉄心蘭を挟んでの花無缺と三角関係や黒蜘蛛の密かな想いなど、恋愛要素にもにやにや。
 ……黒蜘蛛と言えば、彼と小魚児のやりとりはなんか無性になごむ。ああそういえば、小魚児って悪人やらとの丁々発止のやりとりはあっても、こういう仲間・友人との気の置けない言葉の応酬ってあんまりなかったっけなぁと今更のように思った。

 さて、次巻は巻末の予告からも分かるとおり、小魚児の人格形成に大いに影響を与えた某人々の再登場があるのが楽しみ。……ところで別にいいんだけど、1巻につき大体10章前後のペースで消化しているということは、あの人の登場にはあと3巻ぐらい必要なのか……(なんとなく遠い目)

 どうでもいい独り言。帯によればコミック化が決定したらしい。ということは、売れてるの、か……? もしそうならそのまま勢いに乗って、ほかのシリーズも版権買い取って出版してくれないものかなぁ。

作品名 : マーベラス・ツインズ契1 だましあい
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著者名 : 古龍(川合章子:訳)
出版社 : GAMECITY文庫(コーエー)
ISBN  : 978-4-7758-0673-9
発行日 : 2008/6/18

0806購入メモ(その3)。

『東風を運ぶ飛魚』[菊地悠美/B’s-Log文庫]【amazonbooplebk1
『アストフェルの舞姫』[木村千世/B’s-Log文庫]【amazonbooplebk1
『ソフィアの宝石 -乙女は、彼に誘われる-』[渡海奈穂/B’s-Log文庫]【amazonbooplebk1
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『噺家侍 円朝捕物咄』[浦山明俊/祥伝社文庫]【amazonbooplebk1
『神様が用意してくれた場所3 いつかの少年』[矢崎存美/GA文庫]【amazonbooplebk1
『中国怪異譚 閲微草堂筆記(下)』[紀昀/平凡社ライブラリー]【amazonbooplebk1
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あと、資格試験関係で役に立ちそうかなーと思った本をぽいぽいっと。値段は気にしない気にしないー(←気にしろ)

『処刑御使』[荒山徹/幻冬舎文庫]

 読むたびにこの人は朝鮮が好きなのか嫌いなのかとどっちなんだと疑問に思いつつ爆笑させられる、荒山徹氏の作品。今月は2冊同時に文庫化と、ある意味恐ろしい事態に。まぁでも、某アレとかアレのときみたいに帯で真っ当な人を騙してないので、比較的良心的な気がしなくもない。

 戯言はさておき、この本のあらすじですが、一言でいって日韓動乱期を舞台に繰り広げられるターミネーターな話(←身も蓋もないまとめ方) いつもどおり酷いことは酷いんですが(褒め言葉)、基本的に勢いで突っ走る伝奇冒険活劇といったノリなので、荒山作品初心者の人にも読みやすい、かも。
 実際の好悪は別としても、伊藤博文も比較的好感のもてる主人公像になってるし、彼の命を狙ってやってきた処刑御使の中にも現実的に物事を捉える人がいたり、一方に偏りすぎることなく読めるようになってますし、時に登場人物の口も借りて当時の日韓関係も割合真面目に語りつつ、東洋の近現代史を少しでもかじったことのある人間には常識レベルではあるものの、そうでなければどうだろう?というような史実というか豆知識というかを絡めて展開される話は、素直に面白く読めます。最後も、上手く落としたなーという感じだし。
 ……そんな感じで本筋は真面目な感じなのに、何故アレな印象ばかりが強いんだろう……って、考えるまでもなく全体の雰囲気やら本筋を彩る枝葉の部分がアレすぎるからか。今回の話の場合は、時空を超える妖術が初お目見えしたりとか巨大電撃百足とか仏像が闊歩したりとか味方の女性妖術師が使う妖術があんまりにもあんまりだとか、まぁそんな程度でネタ的には比較的大人しかったんですけど(←それで大人しいレベルか)、あとでリセットすれば大丈夫だから!とばかりに本気で好き勝手しまくられたときにはどうしたものかと思いました(笑)

作品名 : 処刑御使
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著者名 : 荒山徹
出版社 : 幻冬舎文庫(幻冬舎)
ISBN  : 978-4-344-41132-6
発行日 : 2008/6