「薬屋のひとりごと」シリーズ等を書かれている作者さんの新作。架空の中華風王朝の花街、その一角にある妓館・太白楼を舞台にした連作小説。
妓館が舞台なだけあって、話の中心になるのはそこで暮らす妓女たち。焦点を当てる女を変えながら語られていく話のそこかしこに置かれた種が花開くクライマックスの展開は、小気味よかった。また、作者さんのちょっと突き放したような淡々とした文章と、太白楼を俯瞰する立ち位置にいる翡の目線がうまく作用しているのか、どの話も妓女を話の主にしてはいるもののあまり重くなりすぎず後味が悪くもなかったのも○。
クライマックスにあたる5幕以外では、3幕が好きかなー。未練を吹っ切った女の啖呵にすっきりした。あと、話のメインになった妓女の中でひとりだけ異なる道を行った万姫のその後が地味に気になる。
微かな花の香りを残して綺麗に幕を降ろした物語、面白かったです。
作品名 : 女衒屋グエン
著者名 : 日向夏
出版社 : 星海社FICTIONS(星海社)
ISBN : 978-4-06-513110-7
発行日 : 2018/9/18