ジャンル・お店ものと並んでここ数年よく見かけるように思う、仕事やなにやで神様・妖かしと関わることになった人間のお話。あらすじ読んで面白そうだったので、購入してみました。
タイトルからもわかるとおり、話の舞台は老舗百貨店の外商部。ある時を境に睡眠障害と幻覚を見るようになった主人公の美苑。実は幻覚ではなく、「人ではないもの」が視えるようになったがために本店の「特別なお客様相手の外商部」に異動になって――、という導入。
お客様は(比喩ではなく)神様なので価値観が違ったりわがままだったりするけれど、かわいげがあって憎めないし、主人公の美苑もしっかり責任と誇りを持って仕事に臨む良い娘だし、特別外商部の他メンバーもそれぞれキャラが立っていて、登場人物は全体的に好感が持てる感じ。
そんな登場人物たちを配置して、美苑(ともうひとり)が睡眠障害になった原因をひとつのキーとしながら展開される3つのお話は、ユーモラスなだけではなくちょっと切ないところもあり。良い意味で、最後までさらっと、楽しく読めた1冊でした。これ1冊でまとまっているけれど、もし続編があったらどんな話がでてくるのか気になるところではあります。
作品名 : 神さまの百貨店 たそがれ外商部が御用承ります。
著者名 : 佐々原史緒
出版社 : 富士見L文庫(KADOKAWA)
ISBN : 978-4-04-072215-3
発行日 : 2017/3/15