富士ミス時代から何気に好きで購入している田代先生の新刊。現代日本を舞台に、料理研究家の父を持ちながら自分では料理ができない女子高生ちとせと、ちとせの父の料理教室に通っていた縁で彼女の弁当を作ることになった小匣先生の、お弁当に絡んだ謎を描いた日常の謎ミステリー。
読後真っ先に思ったのは、「先生の作るお弁当とても美味しそうだなあ」で、平井骸惚1巻のコロッケの描写を思い出してました。あれも美味しそうだった……。
それはさておき、主人公のちとせが女子高生なこともあってか、発生する小さなトラブルや謎はそれほど深刻なものではないので軽く読める一方、その疑問を解き明かす流れはしっかりとしたものでとても面白かったです。一番気に入ったのは3話目、幼い頃に亡くなったちとせの母親が作ったお弁当について話。ちとせの事情を絡めての着地のさせ方が上手というかやさしいというか。あと、話が進むにつれて先生だけじゃなく友達との関係が進展していってるのにも心温まりました。
設定的にもしばらくは続いて無理はないと思うので、シリーズ化されるといいなあと思います。
作品名 : 先生とわたしのお弁当 二人の秘密と放課後レシピ
著者名 : 田代裕彦
出版社 : 富士見L文庫(KADOKAWA)
ISBN : 978-4-04-072216-0
発行日 : 2017/3/15