その昔、少女小説が玉石混交で大量に発売&消費されていた頃に、今は亡き講談社X文庫ティーンズハートから刊行されていた小野不由美さんのホラーシリーズ。コミック版が発売されていたり根強い人気はありつつも原典が長らく入手困難な状態にあったのが、約1年かけて加筆修正の上復刊されました。ええもう、うっかり旧版手放していたのでいそいそと購入しておりました。
で、リライト版ということで、おぼろげな記憶と比較していろいろと変わっている面もあり。全体的に、すっきり読みやすくはなってるかなぁと思いました。あと、怖さが地味に上昇してて、さぁくるぞと分かっていても、ぞわっとなったりした。各巻、それぞれに趣向が異なっており、それぞれの怖さが楽しめるのもいい。しかし、よく考えると悲惨・陰惨な状況も多いのに、雰囲気が暗くなりすぎないのは主役の麻衣のキャラが大きいよねぇ、としみじみ思ったりもした。
ホラーな部分だけではなく、登場する個性的なキャラクターたちのやりとりも面白い。個人的にはぼーさんと安原君が好きです。それから、少女小説な要素の名残というかなんというかで麻衣の恋心がシリーズ中で描かれるのですが……これの決着が、なんとも切ない。いや、さすがに初読のときは「えええ、そんなのありー!?」と驚きもしましたが(笑)、読みなおすと伏線もちゃんとあるし納得するんだよなぁ。まぁともあれ、現実を受け止めてこの先も歩いていくのだと、そう自然と伝わってくるような麻衣が印象的でした。
そんなこんなで久しぶりに読んだ(コミック版は読んでないので)「ゴーストハント」シリーズ、面白かったです。願わくば、『悪夢の棲む家』も何とかなって、ついでにひょっこりとシリーズ再開とかなったらすごくうれしいんだけど、ないだろうな……。とりあえず、「十二国記」の新刊待ってますはい。