『Fate/Zero(6)煉獄の炎』[虚淵玄/星海社文庫]

 「Fate/Zero」商業版最終巻。そして、物語は10年後の第五次聖杯戦争――「stay night」へ。

 いやー、やっぱり面白かった。残るべくして舞台に残った人間と英霊たちが繰り広げる最終決戦は、どれもが見ごたえありでした。しかし、表主人公たる切嗣とセイバーが、それぞれに絶望と対峙することになる展開はなんともはや。まぁでもセイバーは、ここで徹底的に打ちのめされておかないとSNでの彼女に繋がらないしなぁ。あまりの報われなさが可哀想だけど、仕方がないと思うしか。切嗣は、最期には士郎に己の原点を思い出せたわけだし……まぁ、悔恨も無念も多かろうけれど、悪くない最期、だったんじゃないかなと。
 そんなこんなでどこか虚無的な結果に終わったセイバー組に対して、裏主人公もしくは真主人公といっても過言ではないライダー&ウェイバーの戦いの結末は、実に良いものだったと思います(そこか) 豪放磊落な征服王が格好良いのは今さら言うまでもないので置いておくとして。ウェイバーはのちの生存が確約されている数少ない人間だったのである意味彼のパートは安心して読めていたんですが、それはそれとして1巻当初からこうも成長するとは想像もしていませんでした。グレンさんとのやりとりとかエピローグでの描写が好きだわー。
 その他では、とりあえず我様の最強ラスボスっぷりが素敵だった。ウェイバーとのやりとりとか『この世全ての悪』を肯定する場面とかは、そうそう迂闊なだけじゃないんだよこの人は、と嬉しく思った。言峰は、「ああ、これでこそ言峰だよね……」という感じ。そしてもう一人、雁夜は……彼自身は幸せな幻想に浸って逝けたので悪くない結末でしょうが、桜がね……彼女が解放されるまで10年かかるのかと思うと、悲惨の一言。あと、彼女の影に隠れてるけど凜も置かれた境遇はわりと酷いし。次世代組頑張れ。

 原点へと至る悲劇の物語、再読でしたが堪能いたしました。久しぶりにSNやり直したくなったぐらい。……ところでhollowの移植はまだでしょうか。

作品名 : Fate/Zero(6)煉獄の炎
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著者名 : 虚淵玄
出版社 : 星海社文庫(星海社)
ISBN  : 978-4-06-138912-0
発行日 : 2011/6/10

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