アステカ神話モチーフの異世界ファンタジー、第3巻にして最終巻。
もう少し続くかなぁと思っていただけに、全3巻で終わったことに驚きました。まぁでも、メイン三人に各巻それぞれスポットは当たってるし、このぐらいの分量でコンパクトにまとまっているのも悪くないのかもしれない。
作者様曰く「魔王のターン」となる今回は、ざっくりと展開をまとめてしまえば、神々の「太陽争い」に関連して、豹変したトラロックと終焉を間近にした世界を救うため、騎士団長として戦いに赴くクレアたち……みたいな。設定説明の関係か若干駆け足かなー、と思う部分もありましたが、1巻から比べると格段に成長したヒロインや、彼女周辺の登場人物たちや関係の変化は実に良かった。というか、正直このヒロインにここまで好意を持つようになるとは、1巻当初は夢にも思わなかったし。本来苦手なはずの逆ハー状況もなんとなく許せるのは、人徳なんだろうか……。その他の登場人物では、一番気に入っていた偽弟ことセシルがいろんな意味でとても美味しかったので、それだけで満足しました。この先も二人(?)仲良く、姉馬鹿・弟馬鹿してると良いと思います。
あと、元ネタ神話的に世界の危機展開が来るのは確実だろうけど、どう始末を付けるのかなぁと思っていたのですが、ほどほどにシビアというか。わりと上手く処理されていたように思いました。そのあたりも流れもなかなか面白かったです。
最後は、如何にも大団円という感じ。実に後味良く楽しめました。次回作も楽しみです。