『レッド・アドミラル 羅針盤は運命を示す』[栗原ちひろ/角川ビーンズ文庫]

 栗原ちひろさんの新シリーズは、海軍への転属願を却下され続けていた軍人・ロディア(男装の麗人)が、偶然の出会いから軍艦に乗り込むことになったものの、艦長筆頭に乗組員たちはくせ者ぞろいで……という導入の海軍出世物語。シリーズの1巻目らしく、登場人物紹介を兼ねた発端編なノリでした。

 作者さんの公式ブログで「軍ものですので、萌えより燃え、愛より(今のところ)絆です」と書かれていましたが、まさにそんな感じ。最初はコメディっぽいノリでしたが、中盤からロディアの乗る艦に課せられた機密任務やら何やらが絡んで燃え度も上昇。最後まで適度にドキドキハラハラできて、面白かったです。
 登場人物関係について。主人公のロディアは、男装麗人が私のツボ設定の一つなので最初から補正がかかっている感もありますが、それを差し引いても理想と現実の差にしばしば嫌な目に遭いつつ、前向きに頑張ろうとする良い娘さんだなぁ、と思います。真面目だけれど、意外に柔軟性もあるし。実年齢を考えると、これからもいい感じに成長していきそう。そんなこんなで、オス○ル様っぽくて実に素敵なロディアについ目が行きますが、彼女以外のメンバーもなかなか個性的でいい感じでした。個人的には女装軍医さんが好きかな。次点で無口な航海長。

 一応この1冊でまとまってはいますが、帝国、ひいては唯一神との戦いや、ロディアとランセのコンビの行く末等、気になることは多々あり。とりあえず「「旧神」と聞くと自動的にクトゥ○フを連想するよなぁ……」とか頭の片隅で思いつつ、アレよりはまだマシなようなそうでもないような、な神様相手に、ロディア達がこの先どう立ち回っていくのか、気になるところです。

 ……ところで、ロディアさんは20歳オーバーの設定でも一向に構わないんじゃないかと思うんですが、少女小説的に駄目ですか。そうですか。

作品名 : レッド・アドミラル 羅針盤は運命を示す
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著者名 : 栗原ちひろ
出版社 : 角川ビーンズ文庫(角川書店)
ISBN  : 978-4-04-451414-3
発行日 : 2010/5/1

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