『痕跡師の憂鬱』[田代裕彦/幻狼FANTASIA NOVELS]

 今は亡き富士ミスを中心に作品を発表されていた作者さん、久しぶりの新作はミステリ仕立てのファンタジーというかファンタジー設定(魔法あり)でのミステリというか。

 内容を乱暴にまとめてしまうと、魔術師養成学校を抱える都市で起きた事件を、一般人ながらその頭脳で解き明かしていく「痕跡師」の物語、となるでしょうか。「痕跡師」のクロムウェル先生は立ち位置的に(作者さんの過去作でいえば)骸惚先生っぽいなぁと思ったり。で、太一君というか物語を引っ張っていく役が学生捜査官レウになるかなー。
 魔法ありの世界とはいえ、作中では特に戦闘が起きたりするでもなく地道に捜査……はあまりしてないか。えーととにかく事件を解決するという展開なので、派手さには欠けるものの話自体はまぁ普通に面白かった、という感じ。登場するキャラもわりと良い感じで、雰囲気的にも(殺人事件が起きてるわりには)それほど重くはならず学園生活の描写なども挟んでほどほどに明るい印象だったりで、わりとさっくり読みやすかったし。真面目にミステリとして考えるとアンフェアまでは言わないけどちょっと「……うーん?」とならなくもないけど、まぁそーいうノリの話だから、と割り切ってしまえばこれはこれで(適当)

 事件は解決したものの、こういう話ならいくらでも続きが書けるし、このままシリーズ化するのかな? シリーズが続くなら、ラブコメ要素も増量するといいなぁ、とこっそり期待してみる。

作品名 : 痕跡師の憂鬱
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著者名 : 田代裕彦
出版社 : 幻狼FANTAS
ISBN  : 978-4-344-81899-6
発行日 : 2010/2/26

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