父が事故死してから何とか続けてきた家業(本屋)の廃業が決まり、就職活動を始めた青年・亀尾駿馬。馴染みの客から紹介された派遣会社を訪問しようとしたところ、偶然すれ違った美女に気を引かれふと気がついたら探偵事務所に就職することに!……という導入から始まる、東京下町を舞台にした探偵物語。ちなみに公式のあらすじでは「ディテクティブコメディ」となっていますが、コメディというほどコメディ成分が高くなかった気がする。
地味に面白かったです。主人公の駿馬は特殊能力持ちだけど、その能力に頼ってばかりというわけでもないし。探偵事務所の面々もなかなか個性的だし。事件そのものもそこまで深刻なものではないし。なんというか、全体的に程よい軽さ、というか。読んでいて、ちゃんと地に足がついている、妙な安心感がありました。……まぁその分、派手さには欠けるので、「地味に面白い」としか言いようがないのは困りものですが。でも、こういうのほほんと楽しめる作品は好き。
とりあえず駿馬の初事件は幕を閉じましたが、この先はどんな事件が舞い込んでくるのか。そのうち続きが読めると嬉しいなー。「Calling」(NY舞台の消防士もの)と交互ぐらいのペースでシリーズ展開されると良いのに。
作品名 : Replace
著者名 : 柏枝真郷
出版社 : 幻狼FANTASIA NOVELS(幻冬舎)
ISBN : 978-4-344-81861-3
発行日 : 2010/1/29