自覚の有無にかかわらず、それぞれに悩みを持つ思春期の女の子4人。ある夜、彼女たちの前に天使が現れて……という、現代ファンタジー・オムニバス。最初は購入予定になかったのですが、本屋さんでふと見かけたときになんとなく呼ばれたような気がして購入。
なんというか、とてもかわいい話でした。収録作は4編で、それぞれ別の女の子&天使ペアがメイン。あらすじでは天使と同じぐらい出番がありそうな悪魔は最初の2話にはそれなりに出番があるけれど、後半2話ではほとんど出オチのような扱いだった。まぁ、天使と悪魔のドンパチがメインじゃないからなんでしょうが、もう少し活躍(というか暗躍というか誘惑というか)してくれても良かったなーとは思う。
お話としては、それぞれの女の子たちが担当天使との関わりの中で、自分が内心ぐるぐるもやもやしている問題と向き合って、一歩を踏み出すという流れ。ある意味、古き良き少女小説であり、清く正しいジュブナイルという感じかな。どの話もきちんと終わっているので、安心して読めます。
登場する女の子は多少デフォルメされているものの、「ああこういう子っているよね……」とか妙に納得する等身大の子たちだったので、たまに過ぎ去った学生時代を思い出して遠い目をしつつ、少しだけ子供時代を抜け出した彼女たちの姿には微笑ましい気分にもなりました。あ、導入部はそれぞれの視点で語られるのですが、当然それぞれの個性があるわけで。「この子視点だとそーなるのね」とちょっと面白かった。
初めて読む作家さんでしたが、なかなか面白かった。別の作品もあらすじで波長が合いそう&機会があったら読んでみようと思います。