小川一水さんの新シリーズ。全10巻予定とのことで、かなりのボリュームになりそうです。
物語の舞台となるのは、入植時のトラブルにより技術レベルが20世紀のそれと同程度となっている植民星メニー・メニー・シープ。西暦2803年、領主の圧政により多くの人々が困窮するこの星で、一つの転機が訪れようとしていた……というのが導入。
序盤は、メニー・メニー・シープの情勢や、この地で生きる様々な種族――人類だけでなく、アンドロイドや先住種等の立ち位置等が、主要登場人物たちを追う中で語られていきます。登場人物たちはそれぞれの立場で対立したり協力したりする過程で友情と信頼、さらには愛情を育んでいき、すべての流れがやがて横暴を極める領主への反抗へ結びついていく。王道な展開ではあるものの、小さな流れが徐々に大きな流れとなっていく過程にはやはりわくわくしました。
で。事前にどんな作品か情報をほとんど仕入れていなかったので、一つの星で繰り広げられる様々な種族の興亡史になるのかなー連作短編みたいな形で話が続いていくのかなーとのんきに考えながらページをめくっていたら。終盤の展開にひっくり返った。あれはもう、あとがきでの作者の言葉を借りて「ちょ、おいィ!?」としか言いようがないと思う。つーか、あの人とかあの人とかが、あんなことになるなんて!(指示語ばかりで訳が分かりません)
先の見えない状況に思わせぶりにばらまかれた謎の数々。気になることはいくつもあって、これからどういう具合に話が転がっていくのかとても楽しみです。