龍族、鳥族、犬族、猫族、人族、そして混血たちの住まう大陸を舞台にした物語、1年4ヵ月ぶりの新刊にして最終巻。
今巻の主軸になった内容ては、いよいよ大山脈に辿りついたベルネ=レスティ一行を迎えた龍族、その口から語られる彼らの目的と世界の真実。同時進行で展開されるのは、三族を相手にした「鋼の風」の籠城戦、というあたりでしょうか。なんと言いますか、これまでの巻で広げた風呂敷を粛々と畳んでいったという印象の強い巻でした。
シリーズ通して一番の謎だったベルネ=レスティを招いた龍族の意図は、4巻読了の段階で想像したのが大方当たったかな。さすがに○○○○というのは思ってもいませんでしたが。あと、もっと意図的に行われてる実験なのかなーと思ったりもしてたので、そこは外れたなぁと。静かな緊迫感を孕んだ会話がどのような決着を見るのか、それは読んでからのお楽しみで。
一方、「鋼の風」。これまでも不利な状況で戦ってきた「鋼の風」ではありましたが、最終巻だけあってやはり今回も厳しい戦いを強いられることに……。しかし、そんな状況でも諦めず、それぞれがそれぞれの仕事をきっちりとやりとげて、勝機を手繰り寄せる状況を整えていく過程が、派手ではなくてもなかなか熱い展開で、思わず手に汗握りました。
人知れず大きな変化を迎えた世界。その先行きがどうなるかはわかりませんが、幸多からんことを願います。……まぁとりあえず、レスティとその仲間たちは願うまでもなく幸せに暮らせそうなので一安心です(笑)