それぞれの事情から、世界を統べる「ウィザード」のいる都・マギを目指して旅をする白魔女見習いの少女エメラルドと仲間たちの物語、最終巻。
「思っていたよりもSFな設定だったのね」とか「もう少しこの辺のエピソードをつっこんでほしかったなぁ」とか読後にいろいろ思ったことはあるものの、エメラルドたちの一大冒険&恋物語としては綺麗なハッピーエンドに終わってほっと一安心という感じでした。
以下、登場人物について思ったことをつれづれと。エメラルドは、数々の真実と自分の気持ちに悩みながらも、状況に流されるだけでなく自分で進む道を見定めようとする意志の強さ、精霊たちを前にして数々の言葉がいかにも「らしく」て。本当、最後までしっかりもののヒロインだった。一見よくある逆ハー設定なんだけれど、彼女の場合は仲間たちの大半に友愛含む好意を持たれているのもこれまでの行動で勝ち取ってきたものだと納得できるのがいいよなぁと少ししみじみした。シリーズ当初のエメラルドへの冷淡な態度はどこへやら状態になったウォレスは、自身の死を割り切っている一方でエメラルドに想って揺れる心が切なくて良かった。あと、トト、ラグナ、ハルベルトといった旅の仲間たちは、皆格好良すぎだってば!というぐらい見せ場があったし。加えて、エメラルド一行だけでなく、最後まで話に関わった登場人物たちには何某かの役割が用意されていたりしたのも、なかなか上手いというかいい感じだなぁと思いました。
巻末の後日談は、イラストと併せて破壊力抜群。ちょっとラグナあんたなにしれっと!とか思ったけど、皆あの後も元気にやってたんだろうなぁとほのぼのできてよかった。エメラルドのかわいい意趣返しとウォレスの嫌みのような惚気にもニヤニヤできて満足。次作品も楽しみに待とうと思います。